拾ったやつだといいな
コンビニに納品が無い日は脚立に立ってる。
去年から今までにない体の疲れに襲われ、労働しながら無意識に涙が出てる時がある。年末の大掃除で店にそれしかない小さな脚立に乗り、背伸びをし、伸ばした指先に鳩を出す前みたいに雑巾を掛け、天井を拭いたら雑巾の汚れクリトリスだった時今命が減ってる感覚を味わった。
今年の夏は毎年言ってるが本当に暑く、深夜でも外で脚立に乗り窓ガラスを拭いてると、中年太りが進んでることもあり5分もしないうちにTシャツがびちゃびちゃになったので、いったん店内に戻り、「半身浴してるからかな」と同僚の前でよくわからない見栄をはりながら新しいTシャツに着替えた。小太りが慣れた感じで脚立に乗ってるとサーカスを連想されて笑われてないかと心配しながら、東京のコンクリートに囲まれた景色の中、体だけカブトムシの臭い出しながら窓を拭いてると、灰皿のしけもく集めにきた浮浪者に「この辺のコンビニで窓拭いてるのお兄ちゃんだけだよ。やめときなよ」と言われた。
最近よく店にハゲなのにロン毛のお客さんが来る。40~50ぐらいの男性で中年不審者の正装であるグレーのスウェット上下を着てるので、他のお客さんからもクスクス笑われていて気の毒だが、自分も休みの日はそれで近所をウロウロしてるのでハゲたらやめようと思った。そのお客さんは来店すると必ず5時間以上滞在する。だいたい深夜12時頃に現れ、外が明るくなると帰っていく。まず店の外の端の方で今日の自分の陣地を決め、しばらく店と地面を座椅子にして座り込み、定期的に店内をウロウロして出ていき、座り込み、たまに飲み物やカップラーメンを買って飲食をし、何度も出入りしながら5時間いるという感じだ。たまに股間を見ると、スウェットに尿漏れの円が出来てるので、ほんと少女漫画から飛び出してきたみたいな不審者だと思った。夜勤の時間帯だけ来てるのかなと思ったら、昼勤が"落ち武者の件"と忘れないように机にメモ貼ってたので(万引きしてると疑われてる)、帰ってからまた来てるのがわかった。
いつも買った飲み物や食べ物は外の自分の陣地で食べてるのだが、今日は珍しくイートインスペースのカウンターでカップ麺の豚キムチを食べていた。食べ終わったあとカウンターとカウンター前の窓ガラスが、豚キムチのお風呂に入った子供がタオルをヌンチャクにして遊んだみたいになってたので殺してやろうかと思ったが、飛び散った油汚れだけで本当に豚キムチうまかったことが伝わり、そんなに嫌いになれなかった。アサイーとバナナの500mlのパックジュースがお気に入りらしく、それを1個買い、外で飲み、また買いに入ってくるを数回繰り返して、最後に2個買って持って帰った。いつもその場で飲み切る、食い切る、しかしてなかったので驚いた。2個買ったということは1個は奥さんへかなと思う前に、犬にあげるのかなと思ってしまった。たぶん2個飲みたかっただけと思う。
いつも財布を持たず、手を財布代わりに直で金を握りしめてやって来る。せめてスウェットのポケットに入れろよと思うが、自分の手の平しか信用してないようで、小銭多すぎてグーの小指の方から半分10円出てても絶対にポケットには入れなかった。ある日、店内を回ってる時から口に千円1枚だけ咥えていたので嫌な予感がしてたら、やっぱり口がマネークリップの日だった(こんなに唾染み込んだ札見たことない)。そこまでして自分の肉体しか信用してなかったのに(そういうことではないと思うが)、ある日突然財布を持ってきた。真っ白い長財布でほんとに申し訳ないがこいつとうとうやったなと思った。拾いはしても盗みはしないと思ってたのに..とがっかりしながら「○○○円です」と会計を言うと、財布から髪の毛を出されて声が出た(ヒッ)。財布の中には大量の1円玉と抜け毛が数本入っていて(なんでだよ)、お金は全然足りなかったが、拾った説得力を感じてホッとした。「足りないですね」と伝えると、「うぅ..」という顔をしながらポケットから500円出してきた(なんなんだよお前は)。しばらくして、外の駐車場を掃除しに行くと、いつものように自分の陣地に座り込み、うなだれているのだが、横になぜかまったく同じ型のスポーツバッグを3つ置いてあって、部室でレイプしてる友達の見張り役みたいになってたので、また心がざわざわした。拾ったやつだといいな。
去年から今までにない体の疲れに襲われ、労働しながら無意識に涙が出てる時がある。年末の大掃除で店にそれしかない小さな脚立に乗り、背伸びをし、伸ばした指先に鳩を出す前みたいに雑巾を掛け、天井を拭いたら雑巾の汚れクリトリスだった時今命が減ってる感覚を味わった。
今年の夏は毎年言ってるが本当に暑く、深夜でも外で脚立に乗り窓ガラスを拭いてると、中年太りが進んでることもあり5分もしないうちにTシャツがびちゃびちゃになったので、いったん店内に戻り、「半身浴してるからかな」と同僚の前でよくわからない見栄をはりながら新しいTシャツに着替えた。小太りが慣れた感じで脚立に乗ってるとサーカスを連想されて笑われてないかと心配しながら、東京のコンクリートに囲まれた景色の中、体だけカブトムシの臭い出しながら窓を拭いてると、灰皿のしけもく集めにきた浮浪者に「この辺のコンビニで窓拭いてるのお兄ちゃんだけだよ。やめときなよ」と言われた。
最近よく店にハゲなのにロン毛のお客さんが来る。40~50ぐらいの男性で中年不審者の正装であるグレーのスウェット上下を着てるので、他のお客さんからもクスクス笑われていて気の毒だが、自分も休みの日はそれで近所をウロウロしてるのでハゲたらやめようと思った。そのお客さんは来店すると必ず5時間以上滞在する。だいたい深夜12時頃に現れ、外が明るくなると帰っていく。まず店の外の端の方で今日の自分の陣地を決め、しばらく店と地面を座椅子にして座り込み、定期的に店内をウロウロして出ていき、座り込み、たまに飲み物やカップラーメンを買って飲食をし、何度も出入りしながら5時間いるという感じだ。たまに股間を見ると、スウェットに尿漏れの円が出来てるので、ほんと少女漫画から飛び出してきたみたいな不審者だと思った。夜勤の時間帯だけ来てるのかなと思ったら、昼勤が"落ち武者の件"と忘れないように机にメモ貼ってたので(万引きしてると疑われてる)、帰ってからまた来てるのがわかった。
いつも買った飲み物や食べ物は外の自分の陣地で食べてるのだが、今日は珍しくイートインスペースのカウンターでカップ麺の豚キムチを食べていた。食べ終わったあとカウンターとカウンター前の窓ガラスが、豚キムチのお風呂に入った子供がタオルをヌンチャクにして遊んだみたいになってたので殺してやろうかと思ったが、飛び散った油汚れだけで本当に豚キムチうまかったことが伝わり、そんなに嫌いになれなかった。アサイーとバナナの500mlのパックジュースがお気に入りらしく、それを1個買い、外で飲み、また買いに入ってくるを数回繰り返して、最後に2個買って持って帰った。いつもその場で飲み切る、食い切る、しかしてなかったので驚いた。2個買ったということは1個は奥さんへかなと思う前に、犬にあげるのかなと思ってしまった。たぶん2個飲みたかっただけと思う。
いつも財布を持たず、手を財布代わりに直で金を握りしめてやって来る。せめてスウェットのポケットに入れろよと思うが、自分の手の平しか信用してないようで、小銭多すぎてグーの小指の方から半分10円出てても絶対にポケットには入れなかった。ある日、店内を回ってる時から口に千円1枚だけ咥えていたので嫌な予感がしてたら、やっぱり口がマネークリップの日だった(こんなに唾染み込んだ札見たことない)。そこまでして自分の肉体しか信用してなかったのに(そういうことではないと思うが)、ある日突然財布を持ってきた。真っ白い長財布でほんとに申し訳ないがこいつとうとうやったなと思った。拾いはしても盗みはしないと思ってたのに..とがっかりしながら「○○○円です」と会計を言うと、財布から髪の毛を出されて声が出た(ヒッ)。財布の中には大量の1円玉と抜け毛が数本入っていて(なんでだよ)、お金は全然足りなかったが、拾った説得力を感じてホッとした。「足りないですね」と伝えると、「うぅ..」という顔をしながらポケットから500円出してきた(なんなんだよお前は)。しばらくして、外の駐車場を掃除しに行くと、いつものように自分の陣地に座り込み、うなだれているのだが、横になぜかまったく同じ型のスポーツバッグを3つ置いてあって、部室でレイプしてる友達の見張り役みたいになってたので、また心がざわざわした。拾ったやつだといいな。
死んだらしい
昔バイトしてたコンビニの店長が死んだらしい
愛媛での英語教室の営業の仕事を辞め、実家の徳島に帰り、上京するためお金を貯めてた頃、朝はコンビニ、夜はCDレンタルもやってるレンタルビデオ屋でアルバイトをしていた。
レンタルビデオ屋は実家の近くだったこともあり、僕がここで働き出したことを知らずにレジにやたらBible Black総集編を持ってくる旧作の総集編で浅ましくオナニーをしようとする同級生たちのいろんな平然の装い方を見ながら、Bible Blackが招待ハガキの同窓会会場にいる気分で初めのうちは楽しかったが、知り合いのレンタル略歴を見尽くした頃には何も学ぶことが無くなり、ビデオ屋から家に戻り、数時間仮眠を取って、早朝原付で20分のとこにあるコンビニへ通う生活はなかなか大変だった。
このコンビニは店長がオーナーの店で昔からやってた酒屋を改装してはじめたらしい。店長は髪型も眉毛もひげの感じまで野原ひろしに似ていたので、バイトから店長と呼ばれていた(俺しか思ってなかった)。仕事は真面目で、口数は少なく、怒ることもほとんどなく、仕事以外の話はほぼしない、あまりバイトと仲良くしようとするタイプではなかったので、とても居心地がよかった。2時間寝坊し、携帯から「赤信号で原付が軽トラにオカマ掘られてエンジンがかからない」と空キックしてる音を聞かせながらついた嘘も「そうか」ガチャッと許してくれた。
店長から1度だけ仕事以外の話を向こうから積極的に話しかてきたことがある。夜働いてるレンタルビデオ屋でオリビアニュートンジョンのベストアルバムを借りてきてくれと頼まれた。僕はオリビアニュートンジョンを知らなかったので、靄のかかった自然を歩きながら唄うエンヤみたいな歌手だと思ってたら、トレーニングジムでレオタード姿で歌ってるセクシーな金髪だったので驚いた。音楽に興味があることさえ知らなかった店長の男の部分をはじめて感じて少し何とも言えない気持ちになったが、MDにダビングしてあげたら、SHOW by ショーバイのゴールドバーみたいなういろうをくれた。
僕が働き出してもうすぐ1年ぐらいに、店長はコンビニの横でういろう屋をはじめた。何でういろうなのかわからないし売れるわけないだろと思ってたら、めちゃくちゃ繁盛していた。このコンビニの朝勤は朝6時~10時の時間帯で、基本的に僕と店長の2人勤務だったのだが、店長がういろう屋をはじめてから仕込みの時間と重なるのでほぼ1人勤務になり、レジが混んだら「ちょっとすみません」とコンビニの外に飛び出し、隣のういろう屋の窓に向かって両手で作った×を見せると、給食当番の姿の店長が走ってくる(ブザーを付けてくれ)という、キチガイ2人が昨日見たF1で遊んでるみたいなことをしなきゃいけなくなり大変だった。
ういろう屋を店長の奥さんやお母さんも手伝いはじめたので、店長も朝勤の時間にコンビニのバックルームで発注をする余裕ができていた。ある日の早朝、もうコンビニでも給食衣でいる店長にバックルームに呼ばれると、監視カメラのモニターを黙って指差していた。店内には部活の朝練行く前なのか、早朝から立ち読みをしてる学生服着た中学生が1人だけいて、その子を指差していた。「なんですか?」と尋ねると、モニターを拡大しさらにコッコッと画面を人差し指で叩いた。
店長「出てる」
ちんぽが出ていた。正確に言うとちょうど拡大されて荒くなった映像が白石ひとみのモザイクみたいで何も見えなかったのだが、店長はずっと店内で不審に思い見張っていたらしく、成人コーナーの前で立ち読みしてる中学生がずっとズボンの上から局部を触っていて、さっきとうとうチャックからちんぽを出したらしい(なんでだよ)。「ちょっと行ってくる」とバックルームから店内に出ていった店長をモニターで見てると、「おい」と店長に声をかけられ、あわてて出ていこうとした中学生を店長が首投げをした。嘘でしょ(笑)と僕も店内に飛び出すと、床に首投げをしたまま押さえつけてる給食衣の店長と仰向けで静かにチャックからちんぽが出てる学生服の中学生がいて、今までの人生で1番笑った。
「なめてんのか!!」
店長が怒鳴っていた(よく怒れるな)。こんなに怒った店長をはじめて見たので、ちんぽが出てるけどこれは笑ってはいけない場面なんだと自分に言い聞かし、配膳でモメた給食当番と中学生みたいな2人を引き離して、とりあえずバックルームへ行きましょうと店長をなだめ、3人でバックルームへ入った。
奇跡的にこの夢みたいな時間に店内にいたのが3人だけだったので、中学生も他の客に見られて噂になったりせずによかったなと思ってたら、店長が「親と学校に電話する」と言い出したので耳を疑った(何でこんなに怒れるんだ)。中学生が涙を流しながら土下座をし、すみません、すみません、と何度も謝るが店長の怒りが収まらず、親も学校も連絡先を教えないなら警察を呼ぶと言い出したところで、朝の常連のお客さんたちがやってきたので、僕だけ店内に戻った。しばらくするとバックルームからガララ!ガシャン!と音がしたので覗くと、また首投げを決めていたので勘弁してくれ(笑)と思った。結局中学生は、どこにも連絡されることなく、学生証を書き写され、2回投げられただけで帰された。
何年か前に東京から帰省した時、店長が死んだらしいよと唯一仲良くしてた元バイトの女の先輩からの結婚式の招待状で知った(それに書くなよ)。帰りのバスでコンビニの前を通った時、今までういろう屋にはいたが、コンビニでは働いてなかった奥さんがレジにいたので信憑性があるなと思った。それから、特に真実か確かめることなく帰省するたびバスの中からコンビニを覗いて、店長の姿が見えないことだけを確認していたら、何度目かの帰省の時コンビニが無くなっていた(ういろう屋はあった)。
ういろう屋まで行き、店長が本当に死んだのかを確認することをしないぐらいの希薄な関係だったので、特にファンでは無いが身近だった有名人の訃報を聞いた時みたいな刹那的なしんみりだけで涙は出なかった。ただ、これからも帰省するたび誰よりも先に思い出して「なめてんのか!!」で笑うだろうなと思った。
愛媛での英語教室の営業の仕事を辞め、実家の徳島に帰り、上京するためお金を貯めてた頃、朝はコンビニ、夜はCDレンタルもやってるレンタルビデオ屋でアルバイトをしていた。
レンタルビデオ屋は実家の近くだったこともあり、僕がここで働き出したことを知らずにレジにやたらBible Black総集編を持ってくる旧作の総集編で浅ましくオナニーをしようとする同級生たちのいろんな平然の装い方を見ながら、Bible Blackが招待ハガキの同窓会会場にいる気分で初めのうちは楽しかったが、知り合いのレンタル略歴を見尽くした頃には何も学ぶことが無くなり、ビデオ屋から家に戻り、数時間仮眠を取って、早朝原付で20分のとこにあるコンビニへ通う生活はなかなか大変だった。
このコンビニは店長がオーナーの店で昔からやってた酒屋を改装してはじめたらしい。店長は髪型も眉毛もひげの感じまで野原ひろしに似ていたので、バイトから店長と呼ばれていた(俺しか思ってなかった)。仕事は真面目で、口数は少なく、怒ることもほとんどなく、仕事以外の話はほぼしない、あまりバイトと仲良くしようとするタイプではなかったので、とても居心地がよかった。2時間寝坊し、携帯から「赤信号で原付が軽トラにオカマ掘られてエンジンがかからない」と空キックしてる音を聞かせながらついた嘘も「そうか」ガチャッと許してくれた。
店長から1度だけ仕事以外の話を向こうから積極的に話しかてきたことがある。夜働いてるレンタルビデオ屋でオリビアニュートンジョンのベストアルバムを借りてきてくれと頼まれた。僕はオリビアニュートンジョンを知らなかったので、靄のかかった自然を歩きながら唄うエンヤみたいな歌手だと思ってたら、トレーニングジムでレオタード姿で歌ってるセクシーな金髪だったので驚いた。音楽に興味があることさえ知らなかった店長の男の部分をはじめて感じて少し何とも言えない気持ちになったが、MDにダビングしてあげたら、SHOW by ショーバイのゴールドバーみたいなういろうをくれた。
僕が働き出してもうすぐ1年ぐらいに、店長はコンビニの横でういろう屋をはじめた。何でういろうなのかわからないし売れるわけないだろと思ってたら、めちゃくちゃ繁盛していた。このコンビニの朝勤は朝6時~10時の時間帯で、基本的に僕と店長の2人勤務だったのだが、店長がういろう屋をはじめてから仕込みの時間と重なるのでほぼ1人勤務になり、レジが混んだら「ちょっとすみません」とコンビニの外に飛び出し、隣のういろう屋の窓に向かって両手で作った×を見せると、給食当番の姿の店長が走ってくる(ブザーを付けてくれ)という、キチガイ2人が昨日見たF1で遊んでるみたいなことをしなきゃいけなくなり大変だった。
ういろう屋を店長の奥さんやお母さんも手伝いはじめたので、店長も朝勤の時間にコンビニのバックルームで発注をする余裕ができていた。ある日の早朝、もうコンビニでも給食衣でいる店長にバックルームに呼ばれると、監視カメラのモニターを黙って指差していた。店内には部活の朝練行く前なのか、早朝から立ち読みをしてる学生服着た中学生が1人だけいて、その子を指差していた。「なんですか?」と尋ねると、モニターを拡大しさらにコッコッと画面を人差し指で叩いた。
店長「出てる」
ちんぽが出ていた。正確に言うとちょうど拡大されて荒くなった映像が白石ひとみのモザイクみたいで何も見えなかったのだが、店長はずっと店内で不審に思い見張っていたらしく、成人コーナーの前で立ち読みしてる中学生がずっとズボンの上から局部を触っていて、さっきとうとうチャックからちんぽを出したらしい(なんでだよ)。「ちょっと行ってくる」とバックルームから店内に出ていった店長をモニターで見てると、「おい」と店長に声をかけられ、あわてて出ていこうとした中学生を店長が首投げをした。嘘でしょ(笑)と僕も店内に飛び出すと、床に首投げをしたまま押さえつけてる給食衣の店長と仰向けで静かにチャックからちんぽが出てる学生服の中学生がいて、今までの人生で1番笑った。
「なめてんのか!!」
店長が怒鳴っていた(よく怒れるな)。こんなに怒った店長をはじめて見たので、ちんぽが出てるけどこれは笑ってはいけない場面なんだと自分に言い聞かし、配膳でモメた給食当番と中学生みたいな2人を引き離して、とりあえずバックルームへ行きましょうと店長をなだめ、3人でバックルームへ入った。
奇跡的にこの夢みたいな時間に店内にいたのが3人だけだったので、中学生も他の客に見られて噂になったりせずによかったなと思ってたら、店長が「親と学校に電話する」と言い出したので耳を疑った(何でこんなに怒れるんだ)。中学生が涙を流しながら土下座をし、すみません、すみません、と何度も謝るが店長の怒りが収まらず、親も学校も連絡先を教えないなら警察を呼ぶと言い出したところで、朝の常連のお客さんたちがやってきたので、僕だけ店内に戻った。しばらくするとバックルームからガララ!ガシャン!と音がしたので覗くと、また首投げを決めていたので勘弁してくれ(笑)と思った。結局中学生は、どこにも連絡されることなく、学生証を書き写され、2回投げられただけで帰された。
何年か前に東京から帰省した時、店長が死んだらしいよと唯一仲良くしてた元バイトの女の先輩からの結婚式の招待状で知った(それに書くなよ)。帰りのバスでコンビニの前を通った時、今までういろう屋にはいたが、コンビニでは働いてなかった奥さんがレジにいたので信憑性があるなと思った。それから、特に真実か確かめることなく帰省するたびバスの中からコンビニを覗いて、店長の姿が見えないことだけを確認していたら、何度目かの帰省の時コンビニが無くなっていた(ういろう屋はあった)。
ういろう屋まで行き、店長が本当に死んだのかを確認することをしないぐらいの希薄な関係だったので、特にファンでは無いが身近だった有名人の訃報を聞いた時みたいな刹那的なしんみりだけで涙は出なかった。ただ、これからも帰省するたび誰よりも先に思い出して「なめてんのか!!」で笑うだろうなと思った。
スーパーマン
ずっと働いてたコンビニがつぶれたので、同じオーナーがやってるもう1店舗の方へ移ることになった。正直もうこのオーナーの下で働きたくないと思ったが、有給は「ほんとうに...すまんっ」と猛スピードでつむじ見せられたこともあり、次の仕事探すまでの貯金が無いので仕方無く続けることにした
新しい店は家から歩くと40分かかるとこにあるが、交通費は「ほんとうに...すまんっ」と猛スピードでつむじ見せられたこともあり、自転車も持ってないし40分かけて歩いていくしかなくなった。はじめ筋肉痛になるかなと心配したが、筋肉痛にはならず道中体が冷えて下痢になった。一ヶ月後さすがに悪いと思ったのか、オーナーが自分の嫁が使ってないカゴの形美川憲一の口みたいなボロボロの自転車貸してくれることになったが、週に2、3回警官に止められるようになった
オーナーに「スーパーマンのたかさんです。拍手」と嫌な紹介の仕方をされ、新しい店での仕事がはじまった。案の定仕事のわからないことが全部スーパーマンに集まるようになる。いくら長くやってようが夜勤しかやってないので、他の時間帯がやる伝票整理のやり方やいろいろ知らないこともあり、たまに「知らない」と答えるのだが、どこがスーパーマンだよの顔をされ嫌な気分になる。
オーナーが紹介したいやつがいると、バックルームに呼ばれると「この店のスーパーマン」(いたのかよ)とこの店に元々いたスーパーマン紹介された。「よろしく」と握手を求めてきた夜勤の田部さん(仮名)は、「血と骨」の試写会で握手した崔洋一の感触と似てたので嫌な予感がした。初日の夜勤の休憩中、「寝てない」と寝てない自慢しながらなぜか休日出勤してる田部さんから「たかさんは何本いきますか?」と恵方巻きの予約獲得目標を聞かれ、うーん、まだ来たばかりなので予想がたてられないですねと流そうとしたら、「家族や友達で予約取れないすか?」と言われ、いやあ、上京してきてるし友達もあまりいないので、と休憩中なのになかなか進まないおにぎり食べようとすると、「自分で買ったりは?」と言われたので、いやあ、寿司食えないんですよと本当のこと言うと、「あっ、デザートで恵方巻きロールがあったな」と言われ短時間で大嫌いになった。前のつぶれた店からは僕以外にも何人か移ってきてるのだが、田部さんが会ってまだ数日しか経ってない女子高生を下の名前で呼んでるのを見て、こういう仲良くなり方は浜田雅功以外認めてないのでさらに苦手になった。どこにそんな金あるのかわからないし、そんな金あるなら有給払えと思うのだが、オーナーがまたもう1店舗出すらしく、そこに田部さんが移動することになった。まだほとんど一緒に働いたことないが、気が合うと思えないので正直ホッとした
ある日「ああ、お前か」とお客さんに名札を見ながら手招きされた。常連のペンキ屋のじじいらしい。「田部がいなくなるから困ってたんだよ」とtotoを渡された。どうやらこのペンキ屋のじじいはよくtotoを買うのだが、いつもコンビニに来る時間が店のコンピューターで結果確認できない時間帯らしく、毎回田部さんにチケット渡して調べさせてるようだ。「田部以外の奴(夜勤)に聞いてもわかんねえとか言うからさ、田部においお前これからどうすんだよって聞いたら、たかってスーパーマンがいるって言うからよ」と、初耳の引き継ぎを聞いた。totoの結果は夜勤の時間帯は見れないのだが、田部は(もう呼び捨てにするけど)夜勤後も昼までダラダラ店にいて仕事した気になってる効率糞野郎なので昼間店のコンピューターで結果確認してたらしいのだが、僕は時間内で完全に仕事を終わらせ夜勤後すぐ帰るので、まだ働き出して2ヶ月ぐらいだが毎回ペンキ屋のじじいに「おい、お前」とtotoを渡され、家のパソコンで調べ「ハズレでした」と次の日伝える奴隷関係ができてしまった(「お前ハズレとか言って、フェラーリ乗ってくるなよ」と言われる)。「お前、俺のタバコわかるよな?」と初対面でメビウス6㎎ロングをわからなかったことで激怒されたが、最近はわかば渡して「おい!おい!おい!お前嘘だろ(笑)!」(声でかいな)とウケるようになった。あまり言いたくないが嬉しい
新しい店は家から歩くと40分かかるとこにあるが、交通費は「ほんとうに...すまんっ」と猛スピードでつむじ見せられたこともあり、自転車も持ってないし40分かけて歩いていくしかなくなった。はじめ筋肉痛になるかなと心配したが、筋肉痛にはならず道中体が冷えて下痢になった。一ヶ月後さすがに悪いと思ったのか、オーナーが自分の嫁が使ってないカゴの形美川憲一の口みたいなボロボロの自転車貸してくれることになったが、週に2、3回警官に止められるようになった
オーナーに「スーパーマンのたかさんです。拍手」と嫌な紹介の仕方をされ、新しい店での仕事がはじまった。案の定仕事のわからないことが全部スーパーマンに集まるようになる。いくら長くやってようが夜勤しかやってないので、他の時間帯がやる伝票整理のやり方やいろいろ知らないこともあり、たまに「知らない」と答えるのだが、どこがスーパーマンだよの顔をされ嫌な気分になる。
オーナーが紹介したいやつがいると、バックルームに呼ばれると「この店のスーパーマン」(いたのかよ)とこの店に元々いたスーパーマン紹介された。「よろしく」と握手を求めてきた夜勤の田部さん(仮名)は、「血と骨」の試写会で握手した崔洋一の感触と似てたので嫌な予感がした。初日の夜勤の休憩中、「寝てない」と寝てない自慢しながらなぜか休日出勤してる田部さんから「たかさんは何本いきますか?」と恵方巻きの予約獲得目標を聞かれ、うーん、まだ来たばかりなので予想がたてられないですねと流そうとしたら、「家族や友達で予約取れないすか?」と言われ、いやあ、上京してきてるし友達もあまりいないので、と休憩中なのになかなか進まないおにぎり食べようとすると、「自分で買ったりは?」と言われたので、いやあ、寿司食えないんですよと本当のこと言うと、「あっ、デザートで恵方巻きロールがあったな」と言われ短時間で大嫌いになった。前のつぶれた店からは僕以外にも何人か移ってきてるのだが、田部さんが会ってまだ数日しか経ってない女子高生を下の名前で呼んでるのを見て、こういう仲良くなり方は浜田雅功以外認めてないのでさらに苦手になった。どこにそんな金あるのかわからないし、そんな金あるなら有給払えと思うのだが、オーナーがまたもう1店舗出すらしく、そこに田部さんが移動することになった。まだほとんど一緒に働いたことないが、気が合うと思えないので正直ホッとした
ある日「ああ、お前か」とお客さんに名札を見ながら手招きされた。常連のペンキ屋のじじいらしい。「田部がいなくなるから困ってたんだよ」とtotoを渡された。どうやらこのペンキ屋のじじいはよくtotoを買うのだが、いつもコンビニに来る時間が店のコンピューターで結果確認できない時間帯らしく、毎回田部さんにチケット渡して調べさせてるようだ。「田部以外の奴(夜勤)に聞いてもわかんねえとか言うからさ、田部においお前これからどうすんだよって聞いたら、たかってスーパーマンがいるって言うからよ」と、初耳の引き継ぎを聞いた。totoの結果は夜勤の時間帯は見れないのだが、田部は(もう呼び捨てにするけど)夜勤後も昼までダラダラ店にいて仕事した気になってる効率糞野郎なので昼間店のコンピューターで結果確認してたらしいのだが、僕は時間内で完全に仕事を終わらせ夜勤後すぐ帰るので、まだ働き出して2ヶ月ぐらいだが毎回ペンキ屋のじじいに「おい、お前」とtotoを渡され、家のパソコンで調べ「ハズレでした」と次の日伝える奴隷関係ができてしまった(「お前ハズレとか言って、フェラーリ乗ってくるなよ」と言われる)。「お前、俺のタバコわかるよな?」と初対面でメビウス6㎎ロングをわからなかったことで激怒されたが、最近はわかば渡して「おい!おい!おい!お前嘘だろ(笑)!」(声でかいな)とウケるようになった。あまり言いたくないが嬉しい
解散
コンビニの床が汚い。内戦が多い国の民家ぐらい足跡がある
オーナーがあと半月で閉店だから掃除しなくていい(仕事少なくするから全時間帯1人勤務にしてくれ)と言うので誰もしなくなったのだが、床が汚くて客が帰るという棚をハタキではたいてる(それはさせる)のが馬鹿に見える経験をしたので、息子の友達靴下だけ汚してすぐ帰られた母親の恥ずかしさもあり自分が入ってる時間だけでも掃除することにした。前からわかってたが、トイレから紙の便座シートが無くなり、フライドチキンの袋からミシン目が無くなり、予約でなく来た時だけ買う客の「特濃豆乳の方がよかった」にもう作ってないと嘘をついたり、隠してるつもりだろうがにじみ出るように客のためにみたいな気持ちの無さを廃棄が近いパンのミッフィーシールの上に20円引きシールを貼ってしまうように感じさせ、約3年いてもこの地域や店に対する愛着を感じないし、潰れたのを全部隣のタバコ屋のせいにする言ってることはルンペンと変わらないオーナーなので、潰れることがはじめてした良いことの気がしてきた
このオーナーに変わってから約3年だが、自分は10年近くこの店で働いてきたので、やはりそれなりに店自体に愛着がある。金玉が出るようになったパンツを捨てる時も今までありがとなと思いながら捨てたり、だいすけくんと松本くんが溺れてたらだいすけくんを助けるタイプなので、閉店までの半月の間感謝をしながら掃除するセンチメンタルな気持ちになっていた。お客さんも10年以上通ってる人も多いわけで、よく来てるけど特に喋ったことなかった常連さんからよく話しかけるようになった。向こうからしたら僕は死んだ時のだいすけくんだと思うので、みんな総集編見てる時のその時だけ良い人になってしまう現象だと思いながら、今までレジから出口への間に買ったおにぎりの袋投げ捨ててた明らかに年下の大学生の「閉まっちゃうの?」には、お前は最後まで絶対に悪人で終わらせると「ああ、はい」としか言わなかったが、もう"客"というものに守られてないのを感じたのか、最後ぐらい良い雰囲気にしたかったのになんだよと思ったのか、シュンとして何も言わずに帰っていったので、予定通りだがなんか悪いことした嫌な気持ちになったのでやるんじゃなかったと思った
閉店の日夜勤は休みだったので、最後ぐらい夜勤で飲むかということになり、反田さんとMさんと僕ではじめて一緒に居酒屋で飲んだ。共通の話題がどうしてもオーナーの悪口になってしまうので、閉店の日にまだ悪口言ってるのもなんだなと思い、Mさんが吟醸酒の話をしたり、反田さんがパソコンゲームの話をしたり、僕が風俗の話をしたりしたが、全員他2人が楽しんでないのを感じたので、オーナーの骨まで味噌汁に使うように悪口を絞りだし、全員めちゃくちゃに疲れて解散した
オーナーがあと半月で閉店だから掃除しなくていい(仕事少なくするから全時間帯1人勤務にしてくれ)と言うので誰もしなくなったのだが、床が汚くて客が帰るという棚をハタキではたいてる(それはさせる)のが馬鹿に見える経験をしたので、息子の友達靴下だけ汚してすぐ帰られた母親の恥ずかしさもあり自分が入ってる時間だけでも掃除することにした。前からわかってたが、トイレから紙の便座シートが無くなり、フライドチキンの袋からミシン目が無くなり、予約でなく来た時だけ買う客の「特濃豆乳の方がよかった」にもう作ってないと嘘をついたり、隠してるつもりだろうがにじみ出るように客のためにみたいな気持ちの無さを廃棄が近いパンのミッフィーシールの上に20円引きシールを貼ってしまうように感じさせ、約3年いてもこの地域や店に対する愛着を感じないし、潰れたのを全部隣のタバコ屋のせいにする言ってることはルンペンと変わらないオーナーなので、潰れることがはじめてした良いことの気がしてきた
このオーナーに変わってから約3年だが、自分は10年近くこの店で働いてきたので、やはりそれなりに店自体に愛着がある。金玉が出るようになったパンツを捨てる時も今までありがとなと思いながら捨てたり、だいすけくんと松本くんが溺れてたらだいすけくんを助けるタイプなので、閉店までの半月の間感謝をしながら掃除するセンチメンタルな気持ちになっていた。お客さんも10年以上通ってる人も多いわけで、よく来てるけど特に喋ったことなかった常連さんからよく話しかけるようになった。向こうからしたら僕は死んだ時のだいすけくんだと思うので、みんな総集編見てる時のその時だけ良い人になってしまう現象だと思いながら、今までレジから出口への間に買ったおにぎりの袋投げ捨ててた明らかに年下の大学生の「閉まっちゃうの?」には、お前は最後まで絶対に悪人で終わらせると「ああ、はい」としか言わなかったが、もう"客"というものに守られてないのを感じたのか、最後ぐらい良い雰囲気にしたかったのになんだよと思ったのか、シュンとして何も言わずに帰っていったので、予定通りだがなんか悪いことした嫌な気持ちになったのでやるんじゃなかったと思った
閉店の日夜勤は休みだったので、最後ぐらい夜勤で飲むかということになり、反田さんとMさんと僕ではじめて一緒に居酒屋で飲んだ。共通の話題がどうしてもオーナーの悪口になってしまうので、閉店の日にまだ悪口言ってるのもなんだなと思い、Mさんが吟醸酒の話をしたり、反田さんがパソコンゲームの話をしたり、僕が風俗の話をしたりしたが、全員他2人が楽しんでないのを感じたので、オーナーの骨まで味噌汁に使うように悪口を絞りだし、全員めちゃくちゃに疲れて解散した
反田さん
何度かオーナーが変わったりしながらも、このコンビニで働き出して、もう10年近く経っている。同じ夜勤の反田(たんだ)さんはその前からいる
反田さんはいつもニコニコしてるひょろ長い人で僕よりも年上だが20代に見える。反田さんは無口なので仕事中ほとんど喋らないが、仕事の分担は完全にできていて7:3なことを除けば不満はない。反田さんは1年中丸坊主にしてるので、楽だからしかないだろと思いながらも「楽だからですか?」と聞くとニコニコと首を横に振った(嘘だろ)。「何か理由あるんですか?」と聞くと小渕恵三みたいな間が空いたので、まだ明らかにレジに来る気がないアメリカンドック見てた客を隣のレジに誘導し「まだです」と言われた。それから今まで聞いてないが、坊主の理由になりそうなこと日ハムファンぐらいしかわからなかった
反田さんは見た目が穏やかなので、みんな反田さんが怒ったとこ見たことないと思ってるが、わりとよく怒ってる。店によって多少違うと思うが、コンビニのレジの中は、五千円、千円、千円10枚束、小銭6種類が区切られたトレイにそれぞれ分かれて入ってるのだが、反田さんが態度の悪い客接客したあと必ずもらった小銭全部五千円のとこ入れてある。はじめは急いでて分ける暇なかったのかなと思ってたが、いつも面倒な客のレジ打ちしたあとそうなってるのと、何分待ってもそのままなのでこれは怒ってると気づいた。僕が休みの日だったのだが、前に反田さんと斎藤くんの2人夜勤の時、レジカウンターで新聞広げて立ち読みしてる金髪の若い男がいて、当たり前だが邪魔なので反田さんが注意したらいきなり殴られ、反田さんが殴り返し、斎藤くんが影から「そこまでです」と現れ殴られる事件があり、そんな反射的に殴り返すような闘争心ある人だと思わなかったので驚いたし、斎藤は殴られてよかった
反田さんは僕がここで働き出す前から一級建築士を目指していて、この約10年間毎年試験に落ち続けていた。僕は建築のことはまったくわからないが、反田さんが試験に落ち続けてる理由は、尋常じゃない廃棄漏れの数から想像できた。姉歯事件あってからさらに難しくなったらしく、反田さん自身も最近は休憩中勉強することもやめてしまっていた
僕は漫画家になりたくて上京したのだが、そのことは親はもちろん地元の友達ほぼ誰にも言っておらず、親には安心させようと「教科書を作ってる」と謎の嘘をついてしまってるのだが、なぜか反田さんには漫画家を目指してるとふいに言ってしまった。仕事場以外で喋ることもない関係なのに、なんで言ったのかわからないが、もしかしたら、落選し続けてる者同士の親近感や傷の舐めあいがどこかにあったのかもしれないと思うと恥ずかしいし、反田さんもたまに「漫画はどう?」と大雑把に聞くぐらいで、こっちが「試験はどう?」と聞くように特に関心も無い様子だった。今年、反田さんは合格した(やめちくり~)
実は1月にこの店を閉めることになったとオーナーに言われた。薄々わかってたので特に驚かなかったが、今まで貯まってた有給使おうと思ったら「無い」と言われて驚いた。「貯まってない」ではなく「無い」らしい。「ほんとうに...すまんっ」と猛スピードでつむじ見せられた。顔をあげたら"済んだ"顔をしてたので殺してやろうかと思ったが、さっきストアコンピュータで見たおにぎりの売り上げ前年比50%がウケたのであきらめることにした。オーナーはこの店以外にもう1店舗経営してるのでそっちに来てほしいと言われたが、1年でおにぎりを半分にしたオーナーのつむじ見たばかりなので、少し考えさせてくれと保留にした。反田さんは建築関係の就職活動するためキリよく辞めるそうで、『そうだ。漫画描いてんだって?「たか先生って言ってから辞めたかったです」って言ってたよ』と言われた。少しじんときたが、自転車の停め方の貼り紙がいると斜めの自転車いっぱい描かされ、すぐ怒りに変わった
反田さんはいつもニコニコしてるひょろ長い人で僕よりも年上だが20代に見える。反田さんは無口なので仕事中ほとんど喋らないが、仕事の分担は完全にできていて7:3なことを除けば不満はない。反田さんは1年中丸坊主にしてるので、楽だからしかないだろと思いながらも「楽だからですか?」と聞くとニコニコと首を横に振った(嘘だろ)。「何か理由あるんですか?」と聞くと小渕恵三みたいな間が空いたので、まだ明らかにレジに来る気がないアメリカンドック見てた客を隣のレジに誘導し「まだです」と言われた。それから今まで聞いてないが、坊主の理由になりそうなこと日ハムファンぐらいしかわからなかった
反田さんは見た目が穏やかなので、みんな反田さんが怒ったとこ見たことないと思ってるが、わりとよく怒ってる。店によって多少違うと思うが、コンビニのレジの中は、五千円、千円、千円10枚束、小銭6種類が区切られたトレイにそれぞれ分かれて入ってるのだが、反田さんが態度の悪い客接客したあと必ずもらった小銭全部五千円のとこ入れてある。はじめは急いでて分ける暇なかったのかなと思ってたが、いつも面倒な客のレジ打ちしたあとそうなってるのと、何分待ってもそのままなのでこれは怒ってると気づいた。僕が休みの日だったのだが、前に反田さんと斎藤くんの2人夜勤の時、レジカウンターで新聞広げて立ち読みしてる金髪の若い男がいて、当たり前だが邪魔なので反田さんが注意したらいきなり殴られ、反田さんが殴り返し、斎藤くんが影から「そこまでです」と現れ殴られる事件があり、そんな反射的に殴り返すような闘争心ある人だと思わなかったので驚いたし、斎藤は殴られてよかった
反田さんは僕がここで働き出す前から一級建築士を目指していて、この約10年間毎年試験に落ち続けていた。僕は建築のことはまったくわからないが、反田さんが試験に落ち続けてる理由は、尋常じゃない廃棄漏れの数から想像できた。姉歯事件あってからさらに難しくなったらしく、反田さん自身も最近は休憩中勉強することもやめてしまっていた
僕は漫画家になりたくて上京したのだが、そのことは親はもちろん地元の友達ほぼ誰にも言っておらず、親には安心させようと「教科書を作ってる」と謎の嘘をついてしまってるのだが、なぜか反田さんには漫画家を目指してるとふいに言ってしまった。仕事場以外で喋ることもない関係なのに、なんで言ったのかわからないが、もしかしたら、落選し続けてる者同士の親近感や傷の舐めあいがどこかにあったのかもしれないと思うと恥ずかしいし、反田さんもたまに「漫画はどう?」と大雑把に聞くぐらいで、こっちが「試験はどう?」と聞くように特に関心も無い様子だった。今年、反田さんは合格した(やめちくり~)
実は1月にこの店を閉めることになったとオーナーに言われた。薄々わかってたので特に驚かなかったが、今まで貯まってた有給使おうと思ったら「無い」と言われて驚いた。「貯まってない」ではなく「無い」らしい。「ほんとうに...すまんっ」と猛スピードでつむじ見せられた。顔をあげたら"済んだ"顔をしてたので殺してやろうかと思ったが、さっきストアコンピュータで見たおにぎりの売り上げ前年比50%がウケたのであきらめることにした。オーナーはこの店以外にもう1店舗経営してるのでそっちに来てほしいと言われたが、1年でおにぎりを半分にしたオーナーのつむじ見たばかりなので、少し考えさせてくれと保留にした。反田さんは建築関係の就職活動するためキリよく辞めるそうで、『そうだ。漫画描いてんだって?「たか先生って言ってから辞めたかったです」って言ってたよ』と言われた。少しじんときたが、自転車の停め方の貼り紙がいると斜めの自転車いっぱい描かされ、すぐ怒りに変わった