にゃにゃげつ
最近臭いおじさん【過去記事】と一緒に夜勤をしている。
50過ぎの滑舌が悪すぎて猫が人間の言葉喋ってるみたいに聞こえる尋常じゃない加齢臭がして知らないところで夕勤の高校生にロッカーの制服をファブリーズでびちゃびちゃにされてるほとんど腐った死体のおじさんだ。
「にゃきんいがいにゃぜんぶにゃいれまゆ(夜勤以外は全部入れます)」と言ってた臭いおじさんだが、仕事ができなさすぎ臭すぎで他の時間帯から徐々にシフトを削られ、デリカシーのない昼勤のおばさんに直接体にファブリーズを吹きかけられ、ほんとのゴキブリみたいな追い出され方をして、以外はと言ってたはずの夜勤に渋々入ることになったみたいだ。それまでは臭いおじさんが夕勤に入ってる時に夜勤との交代ですれ違うぐらいしかなかったので、臭いのはわかっていても仕事のできなさは人からの悪口でしかわかっていなかった。
臭いおじさんは走る。とにかく走り回る。ただ何もしていない。本当にただ走ってるだけだ。
人に仕事が遅いのを怒られすぎて、やってる感を出すことに重点を置いてしまい、ガキ使で大食いに挑戦してる時の山崎邦正みたいになっていた。要領も悪く、意味のない行ったり来たりを繰り返し、せっかく走ってきたのにただ呆然と見てたり、運動音痴が体育の授業でヤンキーと同じチームでバスケットボールをしてるみたいな動きだ。
「ゆっくりでいいのでひとつずつ片付けていきましょう」
“あまり叱ると自分の殻に閉じ籠る”というどうしようもない情報を臭いおじさんと一緒に昼間も働いてる夜勤の人から聞いてたので優しく伝えることにした。
コーヒーメーカーのココアが入ってる筒を取り外し、いったんココアを筒から袋に移し、筒を水洗いし、水を拭き取り、またココアを戻す。という15分あればできる清掃作業を1時間以上かかっていたので見に行くと、筒の中にある滑車(これが回ってココアが出る)を止めるピンを穴に入れることができずに何度も落としていた。はじめは手先が不器用なのかなと思っていたが、あまりにも入らないので様子を見ていると穴の形が右に向いたひょうたんなのに、ピンを左に向いたひょうたんにしてずっと差していた。「○○さん、もしかして見えてません?」と冗談で聞いたら「にゃい(はい)」と言われた。
最近いつもかけてた眼鏡が壊れたのだが、予備の眼鏡の度が合ってないらしく見えないらしい。予備でも度は合ってないとダメだろと思いながら、じゃあ壊れた眼鏡を治したらいいんじゃないですかね?と尋ねると「にゃあぁ...(いやあ..いつもやってくれてる眼鏡屋があるんですが、最近ずっと閉まっていて行けないんですよね..)」と言われた。
「どれくらい閉まってます?」
「にゃにゃげつ(2ヶ月)」(閉店だろバカ)
最近ってわりと前だなと思いながら、それだけ開いてないならもう開かない可能性の方が高いと思うんで違う眼鏡屋へ頼んだ方がよくないですか?と言うと「にゃあぁ..(いやあ..ずっとそこの眼鏡屋だったんで、何も言わなくても全部伝わりますし..)」いや、違う眼鏡屋で口で伝えればいいんじゃないですかね。「にゃあぁ...(いやあ...でもその眼鏡屋のおじいさんじゃないと調整ができないんですよね..)」
お前の眼鏡はガッツのドラゴン殺しか。なんでゴドーじゃないと研げないみたいなことがあるんだよ。と思ったが、もしかしたら私が知らないだけでこの平成が終わりそうな現在でも眼鏡の調整は今だ難しく、どこの店でもできることではないのかもしれない。じゃあそれでいいですけど、仕事に支障が出てるのは間違いないので、せめて穴が見えるぐらいに予備の眼鏡を調整してきてくださいと伝えた。
臭いおじさんは右利きなのに釣りを渡す時だけ左手で渡そうとする。お客さんが取りづらそうなので、右で渡さないんですか?と尋ねると、「教わったのがこれなんで、これでやらせてください」(怖っ)と強めに言われた。臭いおじさんは昔違うコンビニで社員として働いてたらしく(ほんとかよ)、その時はじめの研修で教えてくれた人が左利きだったのでそう覚えてしまったようだ。全く意味がわからないが、コンビニ店員も右打ち左投げとかあるんだと無理矢理自分を納得させた。
退勤後廃棄の弁当を二人で食べてる時、無言の室内に加齢臭と南蛮の臭いだけが漂ってる状態がつらくてつい「結婚とかされてますか?」と無粋な質問をしてしまった。「にゃにゃの...(今の彼女と結婚を考えていて式をあげる予定だったんですが、兄が病気で倒れて介護をしなきゃいけなくなって延期になったんです)」と予想してなかった答えが返ってきた。勝手に臭いおじさんは独り身で母親と住んでいて、50すぎても母親に隠れてオナニーしてると思っていた。申し訳ない。後日昼間も臭いおじさんと一緒に働いてる夜勤の同僚に聞くと、彼女は三十代前半のフィリピン人の女性らしい。昼勤の人達がたまに開いてる飲み会で彼女の写メを見たら、若くて美人だったので、貢いでるだけで客なんじゃないかと昼勤のおばさんに疑われてるみたいだ。続けて臭いおじさんは「にゃに..(兄だけでなく、母親の介護もしてるので夜勤がきつい)」と喋り出した。それがあるから夜勤以外はと言ってたのか。ほんとは昼勤にもっと入りたいがあまりシフトに入れてくれないと嘆いていた。ただ臭いおじさんの仕事ぶりを目の当たりにしてしまった今だとお昼時にこんなスピードで仕事されるとやっていけないわなと、ただかわいそうとも思えなかった。
臭いおじさんと夜勤に入ってもう1ヶ月経つが、最新のおじさんの仕事のスピードが1番遅いという謎の退化をしている。ずぅ~っと同じミスを繰り返し、少しも進歩してくれないどころかしてなかった新しいミスをはじめ出す。まだ眼鏡の度は合ってないが、もう何も言わない。合ったところで..と思ってるからだ。電話で何かのアニメとコラボしたお菓子が納品されるかどうか尋ねてきた人に、何度も「ラングドシャ」と言って「えっ?」と大声で聞き返されていた。
50過ぎの滑舌が悪すぎて猫が人間の言葉喋ってるみたいに聞こえる尋常じゃない加齢臭がして知らないところで夕勤の高校生にロッカーの制服をファブリーズでびちゃびちゃにされてるほとんど腐った死体のおじさんだ。
「にゃきんいがいにゃぜんぶにゃいれまゆ(夜勤以外は全部入れます)」と言ってた臭いおじさんだが、仕事ができなさすぎ臭すぎで他の時間帯から徐々にシフトを削られ、デリカシーのない昼勤のおばさんに直接体にファブリーズを吹きかけられ、ほんとのゴキブリみたいな追い出され方をして、以外はと言ってたはずの夜勤に渋々入ることになったみたいだ。それまでは臭いおじさんが夕勤に入ってる時に夜勤との交代ですれ違うぐらいしかなかったので、臭いのはわかっていても仕事のできなさは人からの悪口でしかわかっていなかった。
臭いおじさんは走る。とにかく走り回る。ただ何もしていない。本当にただ走ってるだけだ。
人に仕事が遅いのを怒られすぎて、やってる感を出すことに重点を置いてしまい、ガキ使で大食いに挑戦してる時の山崎邦正みたいになっていた。要領も悪く、意味のない行ったり来たりを繰り返し、せっかく走ってきたのにただ呆然と見てたり、運動音痴が体育の授業でヤンキーと同じチームでバスケットボールをしてるみたいな動きだ。
「ゆっくりでいいのでひとつずつ片付けていきましょう」
“あまり叱ると自分の殻に閉じ籠る”というどうしようもない情報を臭いおじさんと一緒に昼間も働いてる夜勤の人から聞いてたので優しく伝えることにした。
コーヒーメーカーのココアが入ってる筒を取り外し、いったんココアを筒から袋に移し、筒を水洗いし、水を拭き取り、またココアを戻す。という15分あればできる清掃作業を1時間以上かかっていたので見に行くと、筒の中にある滑車(これが回ってココアが出る)を止めるピンを穴に入れることができずに何度も落としていた。はじめは手先が不器用なのかなと思っていたが、あまりにも入らないので様子を見ていると穴の形が右に向いたひょうたんなのに、ピンを左に向いたひょうたんにしてずっと差していた。「○○さん、もしかして見えてません?」と冗談で聞いたら「にゃい(はい)」と言われた。
最近いつもかけてた眼鏡が壊れたのだが、予備の眼鏡の度が合ってないらしく見えないらしい。予備でも度は合ってないとダメだろと思いながら、じゃあ壊れた眼鏡を治したらいいんじゃないですかね?と尋ねると「にゃあぁ...(いやあ..いつもやってくれてる眼鏡屋があるんですが、最近ずっと閉まっていて行けないんですよね..)」と言われた。
「どれくらい閉まってます?」
「にゃにゃげつ(2ヶ月)」(閉店だろバカ)
最近ってわりと前だなと思いながら、それだけ開いてないならもう開かない可能性の方が高いと思うんで違う眼鏡屋へ頼んだ方がよくないですか?と言うと「にゃあぁ..(いやあ..ずっとそこの眼鏡屋だったんで、何も言わなくても全部伝わりますし..)」いや、違う眼鏡屋で口で伝えればいいんじゃないですかね。「にゃあぁ...(いやあ...でもその眼鏡屋のおじいさんじゃないと調整ができないんですよね..)」
お前の眼鏡はガッツのドラゴン殺しか。なんでゴドーじゃないと研げないみたいなことがあるんだよ。と思ったが、もしかしたら私が知らないだけでこの平成が終わりそうな現在でも眼鏡の調整は今だ難しく、どこの店でもできることではないのかもしれない。じゃあそれでいいですけど、仕事に支障が出てるのは間違いないので、せめて穴が見えるぐらいに予備の眼鏡を調整してきてくださいと伝えた。
臭いおじさんは右利きなのに釣りを渡す時だけ左手で渡そうとする。お客さんが取りづらそうなので、右で渡さないんですか?と尋ねると、「教わったのがこれなんで、これでやらせてください」(怖っ)と強めに言われた。臭いおじさんは昔違うコンビニで社員として働いてたらしく(ほんとかよ)、その時はじめの研修で教えてくれた人が左利きだったのでそう覚えてしまったようだ。全く意味がわからないが、コンビニ店員も右打ち左投げとかあるんだと無理矢理自分を納得させた。
退勤後廃棄の弁当を二人で食べてる時、無言の室内に加齢臭と南蛮の臭いだけが漂ってる状態がつらくてつい「結婚とかされてますか?」と無粋な質問をしてしまった。「にゃにゃの...(今の彼女と結婚を考えていて式をあげる予定だったんですが、兄が病気で倒れて介護をしなきゃいけなくなって延期になったんです)」と予想してなかった答えが返ってきた。勝手に臭いおじさんは独り身で母親と住んでいて、50すぎても母親に隠れてオナニーしてると思っていた。申し訳ない。後日昼間も臭いおじさんと一緒に働いてる夜勤の同僚に聞くと、彼女は三十代前半のフィリピン人の女性らしい。昼勤の人達がたまに開いてる飲み会で彼女の写メを見たら、若くて美人だったので、貢いでるだけで客なんじゃないかと昼勤のおばさんに疑われてるみたいだ。続けて臭いおじさんは「にゃに..(兄だけでなく、母親の介護もしてるので夜勤がきつい)」と喋り出した。それがあるから夜勤以外はと言ってたのか。ほんとは昼勤にもっと入りたいがあまりシフトに入れてくれないと嘆いていた。ただ臭いおじさんの仕事ぶりを目の当たりにしてしまった今だとお昼時にこんなスピードで仕事されるとやっていけないわなと、ただかわいそうとも思えなかった。
臭いおじさんと夜勤に入ってもう1ヶ月経つが、最新のおじさんの仕事のスピードが1番遅いという謎の退化をしている。ずぅ~っと同じミスを繰り返し、少しも進歩してくれないどころかしてなかった新しいミスをはじめ出す。まだ眼鏡の度は合ってないが、もう何も言わない。合ったところで..と思ってるからだ。電話で何かのアニメとコラボしたお菓子が納品されるかどうか尋ねてきた人に、何度も「ラングドシャ」と言って「えっ?」と大声で聞き返されていた。
びちゃびちゃ
男子ロッカーを開けると見たことない顔写真がついた制服があった。50代のおじさんが入ってきたようだ。監視カメラを巻き戻して確認すると舌が短いのか歯が無いのかわからないが滑舌が悪い癖に早口で接客中何言ってるほとんど聞き取れないハゲたおじさんが働いていた。申し訳ないが仕事できなそうだなと思いながら連絡ノートを開くと、パートで1番性格の悪いおばさんから「経験者と聞いていたのですが」「先が思いやられます(>_<)」「(お客が多い)土曜が怖い(T_T)」とすでに二度と好かれることない嫌われ方をしていて、それに対しておじさんが達筆すぎてほとんど何書いてるかわからない文字で謝罪していた。喋っても書いてもほとんど伝わらない人が接客業の経験者ってただクビになった経験があるだけの気がするが、おじさんが言うには前いたコンビニでバイトから社員になってたらしく、普通はプラスになる情報なのに全員から仕事ができない上に嘘つきのハゲと思われてしまった。
コンビニはうちに限らず万年人手不足なので、おじさんみたいに夜勤以外はどこでも週何日でも入れますみたいな人はそれだけで採用される。朝、昼、夕と孤軍奮闘すればするほど悲しいかな嫌われる人数も怒りの深さもどんどん増していき、ノートに書かれる今日の感想が殺す理由まで書かれたデスノートになっていった。
おじさんが来てから男子ロッカーが柔道部のロッカーに変わった。殺人的な加齢臭がする。私は夜勤なのでそんなに接触したことがなく知らなかったが、朝勤の眼鏡をかけたおとなしい誰の悪口も言わない女子大生が“口も臭い”と教えてくれた。おじさんの身になると自殺したくなるが、臭いというのは仕事ができないとか性格が悪いとかより一番に治さなくちゃいけないことだとわかった。私はこのおじさんよりはさすがに仕事はできるが、数十年後臭くなったら成果の全てが無にされるかもしれない恐怖を、夕勤の高校生たちが「びちゃびちゃにしちゃえよ」とおじさんの制服にファブリーズを吹きかけてるのを見ながら感じた。
たぶん私がこのおじさんに1番優しく接している。あまり関わりがないせいもあるが、もっとひどい奴と仕事をしてるからである。三ヶ月くらい前に入ってきたネパール人の学生シャマランである。いまだにレジと掃除ぐらいしか任せられないし、レジと掃除もそんなにできていない。まずシャマランは誰にも謝らない。レジでよく釣り間違いやポイントカードを通し忘れたりするのだが、客に謝らないし、合ってる通したと平気で嘘をつき、缶チューハイを買い物袋から半分出して飲んでるギターを背負った女になぜか私が顔面を近づけられて殺すぞと言われたりした。最初の頃は日本語があまりわからないからかなと思っていたが、それだけではないことがだんだんわかってきた。シャマランは私が目を離すと何も仕事をしなくなる。私が事務所で休憩してる時ふとカメラを見ると店内に誰もいない。裏の倉庫を見に行くとシャマランは壁にもたれて携帯を見ていた。こいつは自主的に動くことはないので常に仕事をこちらから与えないといけないと思い、私が休憩してる間商品の前出しをするように指示した。カメラを見ていると両手を後ろに組み、店内をゆっくり歩きながらたまに商品を突く気功の達人がいた。私がウォークインというペットボトル飲料の棚の裏に入って品出ししてる時中から店内が見えないので、シャマランに窓掃除をしておくように指示をした。品出しが終わり、店内に戻りシャマランに終わった?と聞くとオワッタと答えた。窓を見るとどうもやった感じがしなかったので監視カメラを巻戻して見ると、事務所の椅子に座り、廃棄のおにぎりを食べながら椅子を90度行ったり来たりしてるネパール人がいた。私は人に怒鳴ると疲れるのでいつも「ダメだぞ」ぐらいの低温でしか注意しなかったらどんどんシャマランに舐められていき、とうとう注意してる間シャマランはヘラヘラするようになった。
シャマランと一緒に仕事をして本当の姿を知ってる店員は私しかいないので、夜勤と交代でやってくる朝勤のおばさんたちにシャマランは人気者だった。シャマランがクズなことを誰にも報告してなかったので、ネパールから単身日本にやってきて苦労してる純朴な青年として、おばさんがシャマちゃんと呼んだり、ジュースを奢ってあげたりして、カメルーンと中津江村みたいな空気が流れていた。なんか嫌だなと思いながら、まあいいかと流してたのだが、シャマランが糞の役に立たない上に足も引っ張られてるので1日の夜勤仕事のほとんどを私がやらなければいけない生活が続き、疲れきった退勤後カメルーンと中津江村を見てると無性にイライラしてきて、中津江村の方にまで殺意を覚えだし、シャマランがクチャラーなことにもムカついてきた。その日もシャマランが何度教えてもレジ点検の表を適当に書くので注意したら、ここが変だよ日本人とヘラヘラしてたので、
「あのさぁ、すみません。ごめんなさい。って日本語知ってる?」
「??ゴメンナサイ??シッテル」
「それって、、、今使うんちゃうんかああああああああい!!!!!!」
と林先生みたいな誘い方で怒鳴った。“今使うんちゃうんかい”は伝わってないと思うが、今まで1度も怒鳴ったことなかったのではじめて生で聞く大きい声の関西弁は効いたみたいだ。それからはミスをするたび
「ご、め、ん」
「ゴ、メ、ン.」
「な、さ、い」
「ナ、サ、イ」
とごめんなさいを陰湿に無理やりにでも言わせてると、ヘラヘラすることも仕事中サボることもなくなり、雑だが一応指示通り仕事はしてくれるようになった。
ある日休み明けに出勤すると、シャマランが辞めていた。
「ワタシキョウデヤメル。アナタ、アタマオカシイヨ」と怒って辞めたらしい。
私が休みの間はじめて他の夜勤と一緒に仕事をしたのだが、仕事中裏の倉庫で寝転がりYouTubeを見ていたようだ。怒鳴られると「ハジメテダカラユルシテヨ」と口論になり「アナタアタマオカシイヨ」と言って辞めたようだ(どういうことだよ)。「タカサンハヤサシカッタ」と言ってたらしく、もしかしたら気づいてないだけでヤラレまくってたのかもしれない。そんな話を聞いてたら、事務所に腐(くさ)おじさんが入ってきた。他の店舗で夕勤をしたあと、うちの店の厨房の発注をしにきたようだ。最近腐おじさんが厨房の発注を任されるようになった。カツとソースとキャベツを発注し食パンを発注せず挟めなかったり、カツとカレーを発注し容器を発注せず盛り付けれなかったりして死ぬほど怒られてるらしいが、ずっと全力でローリングヒルから水没してる清々しさがあり、私だけは味方でいてあげよう(腐おじさんと呼んでしまっているが)と思いながら、ロッカーを開け、シャマランの制服の胸ポケットに差してあった私が買ってあげたボールペンを取り出し、巻いてあった紙に書いた“シャマラン”を引きちぎり自分の胸ポケットに差した。
コンビニはうちに限らず万年人手不足なので、おじさんみたいに夜勤以外はどこでも週何日でも入れますみたいな人はそれだけで採用される。朝、昼、夕と孤軍奮闘すればするほど悲しいかな嫌われる人数も怒りの深さもどんどん増していき、ノートに書かれる今日の感想が殺す理由まで書かれたデスノートになっていった。
おじさんが来てから男子ロッカーが柔道部のロッカーに変わった。殺人的な加齢臭がする。私は夜勤なのでそんなに接触したことがなく知らなかったが、朝勤の眼鏡をかけたおとなしい誰の悪口も言わない女子大生が“口も臭い”と教えてくれた。おじさんの身になると自殺したくなるが、臭いというのは仕事ができないとか性格が悪いとかより一番に治さなくちゃいけないことだとわかった。私はこのおじさんよりはさすがに仕事はできるが、数十年後臭くなったら成果の全てが無にされるかもしれない恐怖を、夕勤の高校生たちが「びちゃびちゃにしちゃえよ」とおじさんの制服にファブリーズを吹きかけてるのを見ながら感じた。
たぶん私がこのおじさんに1番優しく接している。あまり関わりがないせいもあるが、もっとひどい奴と仕事をしてるからである。三ヶ月くらい前に入ってきたネパール人の学生シャマランである。いまだにレジと掃除ぐらいしか任せられないし、レジと掃除もそんなにできていない。まずシャマランは誰にも謝らない。レジでよく釣り間違いやポイントカードを通し忘れたりするのだが、客に謝らないし、合ってる通したと平気で嘘をつき、缶チューハイを買い物袋から半分出して飲んでるギターを背負った女になぜか私が顔面を近づけられて殺すぞと言われたりした。最初の頃は日本語があまりわからないからかなと思っていたが、それだけではないことがだんだんわかってきた。シャマランは私が目を離すと何も仕事をしなくなる。私が事務所で休憩してる時ふとカメラを見ると店内に誰もいない。裏の倉庫を見に行くとシャマランは壁にもたれて携帯を見ていた。こいつは自主的に動くことはないので常に仕事をこちらから与えないといけないと思い、私が休憩してる間商品の前出しをするように指示した。カメラを見ていると両手を後ろに組み、店内をゆっくり歩きながらたまに商品を突く気功の達人がいた。私がウォークインというペットボトル飲料の棚の裏に入って品出ししてる時中から店内が見えないので、シャマランに窓掃除をしておくように指示をした。品出しが終わり、店内に戻りシャマランに終わった?と聞くとオワッタと答えた。窓を見るとどうもやった感じがしなかったので監視カメラを巻戻して見ると、事務所の椅子に座り、廃棄のおにぎりを食べながら椅子を90度行ったり来たりしてるネパール人がいた。私は人に怒鳴ると疲れるのでいつも「ダメだぞ」ぐらいの低温でしか注意しなかったらどんどんシャマランに舐められていき、とうとう注意してる間シャマランはヘラヘラするようになった。
シャマランと一緒に仕事をして本当の姿を知ってる店員は私しかいないので、夜勤と交代でやってくる朝勤のおばさんたちにシャマランは人気者だった。シャマランがクズなことを誰にも報告してなかったので、ネパールから単身日本にやってきて苦労してる純朴な青年として、おばさんがシャマちゃんと呼んだり、ジュースを奢ってあげたりして、カメルーンと中津江村みたいな空気が流れていた。なんか嫌だなと思いながら、まあいいかと流してたのだが、シャマランが糞の役に立たない上に足も引っ張られてるので1日の夜勤仕事のほとんどを私がやらなければいけない生活が続き、疲れきった退勤後カメルーンと中津江村を見てると無性にイライラしてきて、中津江村の方にまで殺意を覚えだし、シャマランがクチャラーなことにもムカついてきた。その日もシャマランが何度教えてもレジ点検の表を適当に書くので注意したら、ここが変だよ日本人とヘラヘラしてたので、
「あのさぁ、すみません。ごめんなさい。って日本語知ってる?」
「??ゴメンナサイ??シッテル」
「それって、、、今使うんちゃうんかああああああああい!!!!!!」
と林先生みたいな誘い方で怒鳴った。“今使うんちゃうんかい”は伝わってないと思うが、今まで1度も怒鳴ったことなかったのではじめて生で聞く大きい声の関西弁は効いたみたいだ。それからはミスをするたび
「ご、め、ん」
「ゴ、メ、ン.」
「な、さ、い」
「ナ、サ、イ」
とごめんなさいを陰湿に無理やりにでも言わせてると、ヘラヘラすることも仕事中サボることもなくなり、雑だが一応指示通り仕事はしてくれるようになった。
ある日休み明けに出勤すると、シャマランが辞めていた。
「ワタシキョウデヤメル。アナタ、アタマオカシイヨ」と怒って辞めたらしい。
私が休みの間はじめて他の夜勤と一緒に仕事をしたのだが、仕事中裏の倉庫で寝転がりYouTubeを見ていたようだ。怒鳴られると「ハジメテダカラユルシテヨ」と口論になり「アナタアタマオカシイヨ」と言って辞めたようだ(どういうことだよ)。「タカサンハヤサシカッタ」と言ってたらしく、もしかしたら気づいてないだけでヤラレまくってたのかもしれない。そんな話を聞いてたら、事務所に腐(くさ)おじさんが入ってきた。他の店舗で夕勤をしたあと、うちの店の厨房の発注をしにきたようだ。最近腐おじさんが厨房の発注を任されるようになった。カツとソースとキャベツを発注し食パンを発注せず挟めなかったり、カツとカレーを発注し容器を発注せず盛り付けれなかったりして死ぬほど怒られてるらしいが、ずっと全力でローリングヒルから水没してる清々しさがあり、私だけは味方でいてあげよう(腐おじさんと呼んでしまっているが)と思いながら、ロッカーを開け、シャマランの制服の胸ポケットに差してあった私が買ってあげたボールペンを取り出し、巻いてあった紙に書いた“シャマラン”を引きちぎり自分の胸ポケットに差した。
サイン
ある日出勤するとバックルームにジャージを着たM・ナイト・シャマランがいた。ヴィジット面白かったなと思い出しながらロッカーを開けてユニフォームに着替えてると、夕勤から新しい夜勤ですと教えられた。ネパールの人が夜勤に入ってきたというのはなんとなく聞いていたがそれ以外には何の情報もない。今日から研修してくれとオーナーからの伝言です。初耳だ。あと数週間したら俺以外の夜勤が全員辞めてしまうのでその代わりの人なんだろう。とりあえず話しかけてみるかと夜勤のたかですと自己紹介するとハジメ、マシテ、シャマラン、デスとADのスケッチブックに書いてあるナオミ知っとこアイラブユーを読んでる感じで返してくれた。
普通夜勤仕事を教える前にレジ業務、宅急便、品出しなどの基本的な研修は終えているはずなので、レジはもうできますか?と質問すると「レジ...アー...レジ」と答えはわからなかったがこの質問に答えられないとレジできないだろと思い、とにかく情報が欲しいとクソ若ハゲ情報ノー下ろしオーナーに電話をすると、シャマランくんは日本に来てまだ1年も経ってない20代の学生で福祉を学んでおり、日本語は何となく聞き取れてひらがなとカタカナは読めるが漢字は読めないらしい。数日違う店で(なぜか他の店舗も持っている)研修をしたがレジがやばすぎて1人にすることができずまだレジの研修しかしてないらしい(やばすぎるまま送ってくるな)。名札は机の引き出しに入れてあるからよろしく。こいつ面倒になって投げ出したな..。次は四次元ポケット付ける工程なのにどら焼きだけベルトコンベアーで流れてきた作業員の気持ち(完成したのちの好み!?)だが一応レジは打てるようなので言葉が伝わりにくくてもレジに金額出るしなんとかなるかと思い、試しに5人ほど打ってもらうと1人に2円のお釣を1円で返し、もう1人にはもらった50円を5円と打ち込んだので、レジで野球のオープン戦の打率はやばすぎると思い、ずっとレジ打ってるところを俺が見てるわけにもいかないし(夜勤はレジ以外の仕事がほとんどだし)、だからと言って1人で打たせて退勤後.240、2本、56盗とデータが出ても56盗が怖すぎるので(2本も怖すぎるけど)、とりあえずお客さんが減るまでファーストフードを並べていたトレイを厨房で洗ってもらうことにした。
しばらくすると、おにぎりや弁当、パック飲料が納品されたので、次は商品を並べる作業をやってもらおうと厨房へ行くと床がガンジス川で洗濯したあとみたいになっていた。シャマランくん、(床を指差し)、びちゃびちゃ、ノー(手を横に振る)びちゃびちゃと、高校の頃ターゲットで暗記することも付属の赤シートをドラゴンボールのスカウターとして遊ぶこともせずに、赤ちゃんベッドでターゲットがうつ伏せでしーんとしていてもリアルスコープのワンピースのアフレコ現場を見ながらちゃぶ台でご飯を食べてるぐらい英語を育児放棄していたことが仇になったが、なんとか伝わったようだ(うなづいたので)。
パック飲料を並べてもらうのはまだ難易度が高い気がしたので、まだ種類や数が少なくわかりやすいおにぎりと弁当を並べてもらうことにした。同じ種類で並べること、古いのが前に来るように並べること、この段はおにぎり、この段はお寿司、弁当を並べることを、ゆっくりした日本語と英単語と自分がやって見せることで説明して、とりあえずまかせてみた。シャマランくんはとにかく反応が薄いので、今言ったことが伝わったのか、伝わってないけどうなづいてるのかがわからない。わからないことがあったら気にせず何でも聞いてねと言っても、まだ1度も聞いてこないし、わからないことがあったら気にせずなんでも聞いてね。が伝わったのかもわからない。レジで惣菜のからあげを何秒温めるかわからなかったのでパッケージに書いてある秒数を指差して20びょうと教えてうなづいたが10を押したし、皿洗いで使うタオルは、手拭き用、フライヤーなどの油が付いてるところ用、皿を拭く用と3つあり、それぞれにひらがなで、“て”、“あぶら”、“さら”、と“て”にウケながらマジックで書き、さらにこのタオルはこれを拭くと実際にやって見せ、うなづいたのだが、“て”で油を拭いていた。
パック飲料を入れ終わったが、まだシャマランくんがおにぎり、弁当を並べ終わってなかったので、シャマランくんがやり残していた厨房の洗い物作業をしていると、「アー..」とシャマランくんが厨房に入ってきた。はじめて自発的に声をかけてきた。はじめて歩いた赤ちゃんを中腰で向かえ入れる気持ちで手を広げて待ってると「センザイ..」とつぶやいた。手を擦っている。もしかして..手荒れの未来への..危惧..?シャマランくんが手を入念に洗ったあと、またおにぎりの前に戻っていった。おそらく手に少し残っていた洗剤の感覚が嫌だったのだろう。いつかは厨房で皿を洗いつつ、レジも見つつ、納品が来る前に終わらせるスピードも必要になってくるので、少しでも障害が減るようにゴム手袋を買ってあげたが無反応だったのでそういうことじゃないのかもしれない。
もうそろそろできたかなと言うより普通のスケジュールより1時間半遅れてるので、とりあえずおにぎり、弁当の品出しができてるか途中経過を見ることにした。四角の袋に入ったおにぎりがうんちょこちょこちょこピーをしたみたいになっていた。所々真横に並べてある。三角のおにぎりは所々裏で並べてあったし、鮭の後ろにたらこを並べてあるみたいな種類間違いが多発していた。自分が想像していたミスは賞味期限がバラバラになってるぐらいだったので気絶しそうになったし、もちろん賞味期限もバラバラになっていた。踊るマハラジャってこういうことなのかなと思いながら“oldからnewへ”とやばいミクスチャーバンドの曲みたいなタイトルとジェスチャーで賞味期限の並べ方を教えると、うなずきながら賞味期限通りにたらこを鮭の後ろに並べた。「ノーノー!picture。違うpicture。picture通りに。レフトへノー90度。アンサーpicture。」とずっとルー大柴でジャルジャルのバットの持ち方教えるコントをしながら、ジェスチャークイズのジェスチャーする側でずっとパス!パス!と叫んでるようで、まだ仕事の前半の前半しか終わってないのにものすごい疲労感に襲われた。もしかして、これって日本語がわからないんじゃなくてただの完全なる悪意なんじゃ..。いくら漢字が読めなくても絵で見たらわかるし、ましてや横にして置く?511キンダーハイムで育ったとかじゃないとありえないんじゃ..。メモ1枚で全員殺してるんじゃ..。と人としてのシャマランくんを疑い始めた時まだ寿司を1つも棚に並べてないことに気づいた。いなり寿司と巻き寿司が入った寿司セットを手渡して、寿司はここの棚と指差した。呆然としてるシャマランくん。どうしたの?と聞いてみると「コレハ..ベントウ..?」と困惑してるようだった。なるほど寿司と弁当の違いがわからないのか。ネパールにコンビニはあるの?と聞くと「ナイ..。(おにぎり、弁当の棚を差して)ネパールハオニギリベントウナイ..。」間違ってるかもしれないが、ネパールにはおにぎりや弁当を棚に並べて売ってるような店がないらしい。それは大変だ。普通の新人は買い物したことがあるから大した説明なくてもおにぎりを並べられるし、からあげくんが5個入りなのもわかってる。でもおにぎりを横に並べるかねとまだモヤモヤするが、自分が気づいてない文化の差ですごいハンデがあるのかもしれない。とりあえず完全なる悪意じゃないと信じて、根気よく教えることにした。目は透き通っている。目が透き通っているキチガイも知ってるが、この目はチワワの方の目だ。もう廃棄(賞味期限切れ)を集める時間なので、また同じように説明して集めてもらうと、ネパールは24時間じゃないと言われ(聞き間違いかシャマランくんがキチガイじゃなければ)、集めた廃棄をパソコンに打ち込む時には鮭の裏にたらこを並べてた人なのでツナおにぎりが2個あってもツナ1、ツナ1と全部1で打ってもらった。
パンの納品が来た。おにぎりと違って中身が丸見えである。これはミスが起きにくいのではないか。実際中身が丸見えの弁当では種類間違いが起きなかった(絵も一緒だろと思うが)。これなら検品作業(ピッとバーコードを通して出たデータの数と実際の数があってるか確認する)もできるかもしれない。検品する機械を手渡し後ろで眺めてると、序盤でコロッケパンを焼きそばパンの後ろに並べた(なんでだよ)。パンで挟んでるからか。初めてだとまんこも入れるとこわからないもんね。と自分で自分を応援しながら見守ったが、検品の機械には全部1と打ち込んであった。立ったまま1番下の段にパンを並べてる時、シャマランくんの毛だらけの尻が半分出ていたがこれは日本語でどう伝えていいかとかではなく、まだ仲良くないので言えなかった。
普通夜勤仕事を教える前にレジ業務、宅急便、品出しなどの基本的な研修は終えているはずなので、レジはもうできますか?と質問すると「レジ...アー...レジ」と答えはわからなかったがこの質問に答えられないとレジできないだろと思い、とにかく情報が欲しいとクソ若ハゲ情報ノー下ろしオーナーに電話をすると、シャマランくんは日本に来てまだ1年も経ってない20代の学生で福祉を学んでおり、日本語は何となく聞き取れてひらがなとカタカナは読めるが漢字は読めないらしい。数日違う店で(なぜか他の店舗も持っている)研修をしたがレジがやばすぎて1人にすることができずまだレジの研修しかしてないらしい(やばすぎるまま送ってくるな)。名札は机の引き出しに入れてあるからよろしく。こいつ面倒になって投げ出したな..。次は四次元ポケット付ける工程なのにどら焼きだけベルトコンベアーで流れてきた作業員の気持ち(完成したのちの好み!?)だが一応レジは打てるようなので言葉が伝わりにくくてもレジに金額出るしなんとかなるかと思い、試しに5人ほど打ってもらうと1人に2円のお釣を1円で返し、もう1人にはもらった50円を5円と打ち込んだので、レジで野球のオープン戦の打率はやばすぎると思い、ずっとレジ打ってるところを俺が見てるわけにもいかないし(夜勤はレジ以外の仕事がほとんどだし)、だからと言って1人で打たせて退勤後.240、2本、56盗とデータが出ても56盗が怖すぎるので(2本も怖すぎるけど)、とりあえずお客さんが減るまでファーストフードを並べていたトレイを厨房で洗ってもらうことにした。
しばらくすると、おにぎりや弁当、パック飲料が納品されたので、次は商品を並べる作業をやってもらおうと厨房へ行くと床がガンジス川で洗濯したあとみたいになっていた。シャマランくん、(床を指差し)、びちゃびちゃ、ノー(手を横に振る)びちゃびちゃと、高校の頃ターゲットで暗記することも付属の赤シートをドラゴンボールのスカウターとして遊ぶこともせずに、赤ちゃんベッドでターゲットがうつ伏せでしーんとしていてもリアルスコープのワンピースのアフレコ現場を見ながらちゃぶ台でご飯を食べてるぐらい英語を育児放棄していたことが仇になったが、なんとか伝わったようだ(うなづいたので)。
パック飲料を並べてもらうのはまだ難易度が高い気がしたので、まだ種類や数が少なくわかりやすいおにぎりと弁当を並べてもらうことにした。同じ種類で並べること、古いのが前に来るように並べること、この段はおにぎり、この段はお寿司、弁当を並べることを、ゆっくりした日本語と英単語と自分がやって見せることで説明して、とりあえずまかせてみた。シャマランくんはとにかく反応が薄いので、今言ったことが伝わったのか、伝わってないけどうなづいてるのかがわからない。わからないことがあったら気にせず何でも聞いてねと言っても、まだ1度も聞いてこないし、わからないことがあったら気にせずなんでも聞いてね。が伝わったのかもわからない。レジで惣菜のからあげを何秒温めるかわからなかったのでパッケージに書いてある秒数を指差して20びょうと教えてうなづいたが10を押したし、皿洗いで使うタオルは、手拭き用、フライヤーなどの油が付いてるところ用、皿を拭く用と3つあり、それぞれにひらがなで、“て”、“あぶら”、“さら”、と“て”にウケながらマジックで書き、さらにこのタオルはこれを拭くと実際にやって見せ、うなづいたのだが、“て”で油を拭いていた。
パック飲料を入れ終わったが、まだシャマランくんがおにぎり、弁当を並べ終わってなかったので、シャマランくんがやり残していた厨房の洗い物作業をしていると、「アー..」とシャマランくんが厨房に入ってきた。はじめて自発的に声をかけてきた。はじめて歩いた赤ちゃんを中腰で向かえ入れる気持ちで手を広げて待ってると「センザイ..」とつぶやいた。手を擦っている。もしかして..手荒れの未来への..危惧..?シャマランくんが手を入念に洗ったあと、またおにぎりの前に戻っていった。おそらく手に少し残っていた洗剤の感覚が嫌だったのだろう。いつかは厨房で皿を洗いつつ、レジも見つつ、納品が来る前に終わらせるスピードも必要になってくるので、少しでも障害が減るようにゴム手袋を買ってあげたが無反応だったのでそういうことじゃないのかもしれない。
もうそろそろできたかなと言うより普通のスケジュールより1時間半遅れてるので、とりあえずおにぎり、弁当の品出しができてるか途中経過を見ることにした。四角の袋に入ったおにぎりがうんちょこちょこちょこピーをしたみたいになっていた。所々真横に並べてある。三角のおにぎりは所々裏で並べてあったし、鮭の後ろにたらこを並べてあるみたいな種類間違いが多発していた。自分が想像していたミスは賞味期限がバラバラになってるぐらいだったので気絶しそうになったし、もちろん賞味期限もバラバラになっていた。踊るマハラジャってこういうことなのかなと思いながら“oldからnewへ”とやばいミクスチャーバンドの曲みたいなタイトルとジェスチャーで賞味期限の並べ方を教えると、うなずきながら賞味期限通りにたらこを鮭の後ろに並べた。「ノーノー!picture。違うpicture。picture通りに。レフトへノー90度。アンサーpicture。」とずっとルー大柴でジャルジャルのバットの持ち方教えるコントをしながら、ジェスチャークイズのジェスチャーする側でずっとパス!パス!と叫んでるようで、まだ仕事の前半の前半しか終わってないのにものすごい疲労感に襲われた。もしかして、これって日本語がわからないんじゃなくてただの完全なる悪意なんじゃ..。いくら漢字が読めなくても絵で見たらわかるし、ましてや横にして置く?511キンダーハイムで育ったとかじゃないとありえないんじゃ..。メモ1枚で全員殺してるんじゃ..。と人としてのシャマランくんを疑い始めた時まだ寿司を1つも棚に並べてないことに気づいた。いなり寿司と巻き寿司が入った寿司セットを手渡して、寿司はここの棚と指差した。呆然としてるシャマランくん。どうしたの?と聞いてみると「コレハ..ベントウ..?」と困惑してるようだった。なるほど寿司と弁当の違いがわからないのか。ネパールにコンビニはあるの?と聞くと「ナイ..。(おにぎり、弁当の棚を差して)ネパールハオニギリベントウナイ..。」間違ってるかもしれないが、ネパールにはおにぎりや弁当を棚に並べて売ってるような店がないらしい。それは大変だ。普通の新人は買い物したことがあるから大した説明なくてもおにぎりを並べられるし、からあげくんが5個入りなのもわかってる。でもおにぎりを横に並べるかねとまだモヤモヤするが、自分が気づいてない文化の差ですごいハンデがあるのかもしれない。とりあえず完全なる悪意じゃないと信じて、根気よく教えることにした。目は透き通っている。目が透き通っているキチガイも知ってるが、この目はチワワの方の目だ。もう廃棄(賞味期限切れ)を集める時間なので、また同じように説明して集めてもらうと、ネパールは24時間じゃないと言われ(聞き間違いかシャマランくんがキチガイじゃなければ)、集めた廃棄をパソコンに打ち込む時には鮭の裏にたらこを並べてた人なのでツナおにぎりが2個あってもツナ1、ツナ1と全部1で打ってもらった。
パンの納品が来た。おにぎりと違って中身が丸見えである。これはミスが起きにくいのではないか。実際中身が丸見えの弁当では種類間違いが起きなかった(絵も一緒だろと思うが)。これなら検品作業(ピッとバーコードを通して出たデータの数と実際の数があってるか確認する)もできるかもしれない。検品する機械を手渡し後ろで眺めてると、序盤でコロッケパンを焼きそばパンの後ろに並べた(なんでだよ)。パンで挟んでるからか。初めてだとまんこも入れるとこわからないもんね。と自分で自分を応援しながら見守ったが、検品の機械には全部1と打ち込んであった。立ったまま1番下の段にパンを並べてる時、シャマランくんの毛だらけの尻が半分出ていたがこれは日本語でどう伝えていいかとかではなく、まだ仲良くないので言えなかった。
俺のボールペン
ボールペンを使わずにコンビニで働くことはできない。
上、故障中、竜田揚げを解凍した人は誰ですか?、石川です、いろいろ書かなければならない。鉛筆でもマジックでもダメ。胸ポケットに挟めないから。胸ポケットに挟めないとコンビニ店員と一緒に移動できない。コンビニ店員は移動しながら書くことが多い。手で筆箱を持って移動してる場合じゃない。ヤクザじゃないのだから。手で入れ物を持って移動するのはヤクザでコンビニ店員ではない。胸ポケットにボールペンを差すのがコンビニ店員として賢い姿である。
出勤しロッカーを開けるとボールペンがない。ユニフォームの胸ポケットに差してたはずの俺のボールペン。胸ポケットにボールペンがないとコンビニ店員ではないので仕方なく新しいのを買い直した。うちのコンビニは備品のボールペンがない。経費でボールペンを買うことも許されてない。だがコンビニ店員にはボールペンが必要。自腹で買うしかないのである。店内で3色ボールペンを買い直した。コンビニ店員はボールペンに赤色がいる。ファーストフードを管理してる表に廃棄になる時間を赤字で書かなければならない。うちだけかもしれないが黒で書くと怒られる。わかりにくいかららしい。他に必要な時がない。必死で思い出したがこれ書く時しかいらない。黒でいいだろ馬鹿。ただ赤で書かないと次の日連絡ノートに“昨日の夜勤で廃棄時間を赤で書いてない人誰ですか?”と赤字で書かれる(あった)。廃棄時間と人にマジギレを伝える時にしかいらない赤色をマジギレされないために買わなければならない。店内に2色がないので3色を買う。3色ボールペンは高い。300円以上する。黒、青、赤だ。コンビニ店員に青はいらない。“海老クルトン串を解凍したのは誰ですか?”と青で書かれてもマジギレが伝わらない。海老クルトン串で笑ってしまうからではない。青は体温を感じないからである。マジギレを青で書く人間は猟奇殺人者である。猟奇殺人者はコンビニ店員ではない。もう製造してないのであるわけない海老クルトン串を解凍してたとマジギレしてる時点で猟奇殺人者である。今書いてる途中で黒と赤のボールペンを1本ずつ2本買えば1本100円、2本で200円で3色ボールペンを買うより安くすむじゃないかと思ったが、胸ポケットに2本もボールペンをさしてるコンビニ店員はお侍さんである。2本差しはコンビニ店員ではなくお侍さんであり、あと単純に胸ポケットがごちゃごちゃして嫌である。もういっそのこと赤だけにするのはどうだろう。赤で書かなければ怒られるものはあるが、黒で書かなきゃ怒られるものはない。それなら赤だけがあればいいのではないかと思うが、何書いてもマジギレと思われるかもしれない。「ゴクッ..“キャベツ1玉”..」「2玉ならよかったの..」と、値引きにしたキャベツでマジギレしてると思われたくないし、赤字のゆうパックが届いて娘が殺されたと思うお母さんが出るかもしれない。やはり3色ボールペン1本を胸ポケットに差してるのがコンビニ店員である。
出勤しロッカーを開けるとまたボールペンがない。胸ポケットに差してたはずの俺のボールペン。それからもたびたび無くなることが起きた。ボールペンには自腹で買った証拠として店のロゴが入ったテープを目印として貼ってある。ある日、夕勤の高校生が俺のボールペンを使っていた。「なんで俺のボールペン使ってるの?」とたずねると、「すみません..。ペン立てに入ってたので使っていいやつかと思ってました..。」と言われた。どうやら、誰かがロッカーの俺のユニフォームの胸ポケットからボールペンを勝手に使ったあと、元に戻さずに机のペン立てに差して、そこからいろんな店員が使ってどこかに消えていってるみたいだ。コンビニには伝達事項などを書く連絡ノートというのがあり、普段目を通すが自分が書くことはほとんどない。よく昼勤のおばさんが“クイニーアマン売れました!もっと在庫があればなあ~(T_T)”とか“朝勤さん、ホット飲料全然入ってませんでしたが、急に温かくなったので助かった~(>_<)”とババア特有の嫌な書き方をしてるのを読んで関係なくても不愉快な気分にさせられている。自分も毎日小さなイライラはよく起きるがこれぐらいなら書くより自分でやった方が早いしめんどくさくないと思って特に書かないようにしているが、今回は金が関わってるので嫌だなと思い、“ボールペンを使うのはいいですが、元に戻すようにお願いします”と黒字で書いた。しばらくすると、また俺のボールペンが無くなっていた。連絡ノートを開き、“今日俺のボールペンを使った人だれ?次やったらカメラで探して直接怒りますので”と赤字で書いた。普通こういうノートで使わない一人称“俺”とタメ口で質問をし、最後をあえて丁寧語にすることでよりマジギレを伝えるテクニックを普段ほぼ何も書き込まない人間がさらに赤字で書いてることで、最上級のマジギレを伝えることができた。同時に普段何も怒らない人間がボールペンでマジギレしてる恥ずかしさも感じたが、そんなこと知ったこっちゃない笑った奴から順に殺してやると恥ずかしさを上回る怒りが私に修正液を持たせなかった。“次やったらカメラで探して..”と書いたが、我慢できずに今調べることにした。だいたい察しがついてるからである。最初ノートに“元に戻してください”と書いたのを読んでもまだやる奴、もしくは読んでない奴。バックルームのカメラでそいつが来てた時間帯を調べると、流れ作業のようにロッカーから俺のボールペンを取り、使ったあとペン立てに差してる若ハゲがいた。オーナーだ。LINEで直接“2度と使うな”と書きこむ。“ペン失礼しました”とマジの時の加トちゃんみたいな返事が来て、モヤモヤした気持ちになった。
上、故障中、竜田揚げを解凍した人は誰ですか?、石川です、いろいろ書かなければならない。鉛筆でもマジックでもダメ。胸ポケットに挟めないから。胸ポケットに挟めないとコンビニ店員と一緒に移動できない。コンビニ店員は移動しながら書くことが多い。手で筆箱を持って移動してる場合じゃない。ヤクザじゃないのだから。手で入れ物を持って移動するのはヤクザでコンビニ店員ではない。胸ポケットにボールペンを差すのがコンビニ店員として賢い姿である。
出勤しロッカーを開けるとボールペンがない。ユニフォームの胸ポケットに差してたはずの俺のボールペン。胸ポケットにボールペンがないとコンビニ店員ではないので仕方なく新しいのを買い直した。うちのコンビニは備品のボールペンがない。経費でボールペンを買うことも許されてない。だがコンビニ店員にはボールペンが必要。自腹で買うしかないのである。店内で3色ボールペンを買い直した。コンビニ店員はボールペンに赤色がいる。ファーストフードを管理してる表に廃棄になる時間を赤字で書かなければならない。うちだけかもしれないが黒で書くと怒られる。わかりにくいかららしい。他に必要な時がない。必死で思い出したがこれ書く時しかいらない。黒でいいだろ馬鹿。ただ赤で書かないと次の日連絡ノートに“昨日の夜勤で廃棄時間を赤で書いてない人誰ですか?”と赤字で書かれる(あった)。廃棄時間と人にマジギレを伝える時にしかいらない赤色をマジギレされないために買わなければならない。店内に2色がないので3色を買う。3色ボールペンは高い。300円以上する。黒、青、赤だ。コンビニ店員に青はいらない。“海老クルトン串を解凍したのは誰ですか?”と青で書かれてもマジギレが伝わらない。海老クルトン串で笑ってしまうからではない。青は体温を感じないからである。マジギレを青で書く人間は猟奇殺人者である。猟奇殺人者はコンビニ店員ではない。もう製造してないのであるわけない海老クルトン串を解凍してたとマジギレしてる時点で猟奇殺人者である。今書いてる途中で黒と赤のボールペンを1本ずつ2本買えば1本100円、2本で200円で3色ボールペンを買うより安くすむじゃないかと思ったが、胸ポケットに2本もボールペンをさしてるコンビニ店員はお侍さんである。2本差しはコンビニ店員ではなくお侍さんであり、あと単純に胸ポケットがごちゃごちゃして嫌である。もういっそのこと赤だけにするのはどうだろう。赤で書かなければ怒られるものはあるが、黒で書かなきゃ怒られるものはない。それなら赤だけがあればいいのではないかと思うが、何書いてもマジギレと思われるかもしれない。「ゴクッ..“キャベツ1玉”..」「2玉ならよかったの..」と、値引きにしたキャベツでマジギレしてると思われたくないし、赤字のゆうパックが届いて娘が殺されたと思うお母さんが出るかもしれない。やはり3色ボールペン1本を胸ポケットに差してるのがコンビニ店員である。
出勤しロッカーを開けるとまたボールペンがない。胸ポケットに差してたはずの俺のボールペン。それからもたびたび無くなることが起きた。ボールペンには自腹で買った証拠として店のロゴが入ったテープを目印として貼ってある。ある日、夕勤の高校生が俺のボールペンを使っていた。「なんで俺のボールペン使ってるの?」とたずねると、「すみません..。ペン立てに入ってたので使っていいやつかと思ってました..。」と言われた。どうやら、誰かがロッカーの俺のユニフォームの胸ポケットからボールペンを勝手に使ったあと、元に戻さずに机のペン立てに差して、そこからいろんな店員が使ってどこかに消えていってるみたいだ。コンビニには伝達事項などを書く連絡ノートというのがあり、普段目を通すが自分が書くことはほとんどない。よく昼勤のおばさんが“クイニーアマン売れました!もっと在庫があればなあ~(T_T)”とか“朝勤さん、ホット飲料全然入ってませんでしたが、急に温かくなったので助かった~(>_<)”とババア特有の嫌な書き方をしてるのを読んで関係なくても不愉快な気分にさせられている。自分も毎日小さなイライラはよく起きるがこれぐらいなら書くより自分でやった方が早いしめんどくさくないと思って特に書かないようにしているが、今回は金が関わってるので嫌だなと思い、“ボールペンを使うのはいいですが、元に戻すようにお願いします”と黒字で書いた。しばらくすると、また俺のボールペンが無くなっていた。連絡ノートを開き、“今日俺のボールペンを使った人だれ?次やったらカメラで探して直接怒りますので”と赤字で書いた。普通こういうノートで使わない一人称“俺”とタメ口で質問をし、最後をあえて丁寧語にすることでよりマジギレを伝えるテクニックを普段ほぼ何も書き込まない人間がさらに赤字で書いてることで、最上級のマジギレを伝えることができた。同時に普段何も怒らない人間がボールペンでマジギレしてる恥ずかしさも感じたが、そんなこと知ったこっちゃない笑った奴から順に殺してやると恥ずかしさを上回る怒りが私に修正液を持たせなかった。“次やったらカメラで探して..”と書いたが、我慢できずに今調べることにした。だいたい察しがついてるからである。最初ノートに“元に戻してください”と書いたのを読んでもまだやる奴、もしくは読んでない奴。バックルームのカメラでそいつが来てた時間帯を調べると、流れ作業のようにロッカーから俺のボールペンを取り、使ったあとペン立てに差してる若ハゲがいた。オーナーだ。LINEで直接“2度と使うな”と書きこむ。“ペン失礼しました”とマジの時の加トちゃんみたいな返事が来て、モヤモヤした気持ちになった。
15時
上京して最初に働き出したコンビニは本社から社員が店長としてやってきてたまに人事異動で店長が変わるという直営店で、少ないながらも残業代は出るし、有給もあるし、社会保険も払ってくれるし、特に何の不満も無かった。
ある日、来月からオーナー店に変わると告げられ、やってきたのが今のオーナーだった。オーナー店に変わると言われても今いちピンと来なかったが、これからは給料を私より年下でなぜか丸坊主のこのオーナーからもらうことになるということは今までより金にシビアになることは理解できた。なんて呼んでいいかわからなかったので、とりあえず○○さんと苗字で呼んでみると「○○さんじゃないから、○○オーナーだから」と言われ、新装オープンして間もないのに、渡邉恒雄より陰口を言われていた。しばらくすると古参の店員のほとんどがやめていったが、私はとりあえず次を探すのがめんどくさいので様子をみることにした。
新装オープン初日、棚から酒が撤去された。免許の申請が遅れて(忘れて)酒が売れないらしい。新装オープンなのに前より物が減ったコンビニがオープンした。近くにタバコ屋があり、前から法律上タバコを売れないコンビニだったので、酒もタバコもないがコーラとシュークリームだけ大量にあるコンビニが新装オープンした。一ヶ月後オーナーとその奥さんがバックルームで暗い顔して話し合ってるのが見えた。机に顔を伏せた奥さんが「もう最悪!」と叫んだ。当然売り上げがもう最悪だ。酒が入ってた棚にコーラを死ぬほど詰め、シュークリームを安売りしてもダメだったみたいだ。お客さんからすれば新装オープンと言われても、別に改装もしてない誕生日会みたいな飾り付けだけされた昔からあるコンビニが急にお菓子の国の人に棚をめちゃくちゃにされただけで迷惑以外の何者でも無かった。しばらくして酒が売れるようになってからは少しはマシになったが、ただ元に戻っただけなので特に売り上げが伸びることも無かった。
このオーナーなんで三十代なのに丸坊主なんだろ(いっぱいいるけど)と思ったら「元野球部だから」と本人に言われた。全然納得できないなと思いながら頭を見ると、ハゲてる人の坊主頭だった。「お前ただの若ハゲだろ」と言うことはもちろんできないので黙ってると、休みの日に草野球してることを勝手に教えてくれた。ある日の休憩中オーナーと2人きりになり、話すことがないので「好きな球団とかありますか?」と聞いてみたら、「俺、やるのが好きなだけだから。見てるだけって楽しい?」と言われ、話しかけるんじゃなかったと思った。
コンビニ店員にも一応役職みたいなのがあり、試験を受けて合格すると給料にその役職手当がプラスされ、私も一応+5000円をもらっていた。オーナー店に変わると給料はオーナーが払うのでその役職手当もオーナー次第なのだが、新装オープン当初「軌道に乗れば..」と言われてからもう4年ほど経つがまだもらっていない。交信が途絶えたはやぶさでも軌道に乗る月日が経っているがそれよりも難しそうだ。この4年の間に店舗も増やしてるのだが、軌道に乗ったかどうかがこの若ハゲオーナーの主観以外に無いので、私の役職手当や有給手当もゼログラビティのジョージクルーニーみたいに宇宙のどこかでずっとクルクル回ってるんだろうなあとしか思えなくなっている。新装オープンした店は結局閉店し、何で出せるのかが未だにわからないが新店舗をオープンした。そこは繁盛しているのだが待遇は何も変わってはいない。
新店舗に絵に書いたような頭頂部だけハゲたロン毛の浮浪者がよく万引きをするようになった。その万引きの仕方が商品を手に取ったらドドドドドッと猛ダッシュで自動ドアに肩をぶつけながら出て行くというもので、盗ったことを気づいてなくても店内にいる店員も客も全員気づく五月蝿さだった。それで次の日には平気な顔で店にやってくるので「お前昨日盗んだよな」と声をかけると「おおおおおおお」と奇声をあげ飛びかかってこようとするので、もし万引きを現行犯で捕まえても暴力をふるってくる可能性があるので「どうしますか?」と、最近は違う店舗にいてほとんど顔を合わせないオーナーに電話で相談すると、「こっちから手を出すのもダメだからなあ..」としばらく沈黙があってから「できるだけギリギリでカスるぐらいの感じでかわして..」と耳を疑うようなクロスカウンター案を出されたので本当にこいつはダメだと思い、入店しようとした時点で「帰れ」と棒を持って追い返すという私の案(これもひどいが)が採用され、成功した。
ここ数カ月給料が末日の銀行が閉まる15時ギリギリに振込まれている。これをされると、いろんな支払いが翌日扱いになったり期限切れになったりして面倒なのと、「払いたくないー(涙)」とATMの前で指を一本一本剥がしながら入金してる姿を想像してしまい、殺してやりたくなった気持ちを押さえ、Lineに「せめて昼までに振り込むことはできないでしょうか」と質問したら、既読無視されている(無視て)。
ある日、来月からオーナー店に変わると告げられ、やってきたのが今のオーナーだった。オーナー店に変わると言われても今いちピンと来なかったが、これからは給料を私より年下でなぜか丸坊主のこのオーナーからもらうことになるということは今までより金にシビアになることは理解できた。なんて呼んでいいかわからなかったので、とりあえず○○さんと苗字で呼んでみると「○○さんじゃないから、○○オーナーだから」と言われ、新装オープンして間もないのに、渡邉恒雄より陰口を言われていた。しばらくすると古参の店員のほとんどがやめていったが、私はとりあえず次を探すのがめんどくさいので様子をみることにした。
新装オープン初日、棚から酒が撤去された。免許の申請が遅れて(忘れて)酒が売れないらしい。新装オープンなのに前より物が減ったコンビニがオープンした。近くにタバコ屋があり、前から法律上タバコを売れないコンビニだったので、酒もタバコもないがコーラとシュークリームだけ大量にあるコンビニが新装オープンした。一ヶ月後オーナーとその奥さんがバックルームで暗い顔して話し合ってるのが見えた。机に顔を伏せた奥さんが「もう最悪!」と叫んだ。当然売り上げがもう最悪だ。酒が入ってた棚にコーラを死ぬほど詰め、シュークリームを安売りしてもダメだったみたいだ。お客さんからすれば新装オープンと言われても、別に改装もしてない誕生日会みたいな飾り付けだけされた昔からあるコンビニが急にお菓子の国の人に棚をめちゃくちゃにされただけで迷惑以外の何者でも無かった。しばらくして酒が売れるようになってからは少しはマシになったが、ただ元に戻っただけなので特に売り上げが伸びることも無かった。
このオーナーなんで三十代なのに丸坊主なんだろ(いっぱいいるけど)と思ったら「元野球部だから」と本人に言われた。全然納得できないなと思いながら頭を見ると、ハゲてる人の坊主頭だった。「お前ただの若ハゲだろ」と言うことはもちろんできないので黙ってると、休みの日に草野球してることを勝手に教えてくれた。ある日の休憩中オーナーと2人きりになり、話すことがないので「好きな球団とかありますか?」と聞いてみたら、「俺、やるのが好きなだけだから。見てるだけって楽しい?」と言われ、話しかけるんじゃなかったと思った。
コンビニ店員にも一応役職みたいなのがあり、試験を受けて合格すると給料にその役職手当がプラスされ、私も一応+5000円をもらっていた。オーナー店に変わると給料はオーナーが払うのでその役職手当もオーナー次第なのだが、新装オープン当初「軌道に乗れば..」と言われてからもう4年ほど経つがまだもらっていない。交信が途絶えたはやぶさでも軌道に乗る月日が経っているがそれよりも難しそうだ。この4年の間に店舗も増やしてるのだが、軌道に乗ったかどうかがこの若ハゲオーナーの主観以外に無いので、私の役職手当や有給手当もゼログラビティのジョージクルーニーみたいに宇宙のどこかでずっとクルクル回ってるんだろうなあとしか思えなくなっている。新装オープンした店は結局閉店し、何で出せるのかが未だにわからないが新店舗をオープンした。そこは繁盛しているのだが待遇は何も変わってはいない。
新店舗に絵に書いたような頭頂部だけハゲたロン毛の浮浪者がよく万引きをするようになった。その万引きの仕方が商品を手に取ったらドドドドドッと猛ダッシュで自動ドアに肩をぶつけながら出て行くというもので、盗ったことを気づいてなくても店内にいる店員も客も全員気づく五月蝿さだった。それで次の日には平気な顔で店にやってくるので「お前昨日盗んだよな」と声をかけると「おおおおおおお」と奇声をあげ飛びかかってこようとするので、もし万引きを現行犯で捕まえても暴力をふるってくる可能性があるので「どうしますか?」と、最近は違う店舗にいてほとんど顔を合わせないオーナーに電話で相談すると、「こっちから手を出すのもダメだからなあ..」としばらく沈黙があってから「できるだけギリギリでカスるぐらいの感じでかわして..」と耳を疑うようなクロスカウンター案を出されたので本当にこいつはダメだと思い、入店しようとした時点で「帰れ」と棒を持って追い返すという私の案(これもひどいが)が採用され、成功した。
ここ数カ月給料が末日の銀行が閉まる15時ギリギリに振込まれている。これをされると、いろんな支払いが翌日扱いになったり期限切れになったりして面倒なのと、「払いたくないー(涙)」とATMの前で指を一本一本剥がしながら入金してる姿を想像してしまい、殺してやりたくなった気持ちを押さえ、Lineに「せめて昼までに振り込むことはできないでしょうか」と質問したら、既読無視されている(無視て)。